2014年4月16日水曜日

「英語にハマりませんか?」No.98

今回は久しぶりにEconomistの記事です。

2週間前の号ですが、ロボット特集ということで、ロボット開発の現況が巻頭記事になって
います。Economistは技術にも関心が高いですね。3Dプリンティングも比較的早く取り上げ
いました。

ということでタイトル部です。

New roles for technology
Rise of the robots
Prepare for a robot invasion. It will change the way people think about technology
Mar 29th 2014

Rise of…」-立ち上がり、進歩といった感じなのですが、日本語訳としては「進歩する
ロボット」という感じか、あるいは、もっと思い切ると「ロボット時代の幕開け」ですか。

the robots」-(色々な種類の)いわゆるロボットということなのでしょう。Theを付けないと
らゆる定義のロボットが含まれてしまうことになると。

the way people think about ….」は、「・・・」についての考え方ということで、色々な形で
使えますね。


ということで、冒頭です。

ROBOTS came into the world as a literary device whereby the writers and 
film-makers of the early 20th century could explore their hopes and fears about 
technology, as the era of the automobile, telephone and aeroplane picked up 
its reckless jazz-age speed.....

ロボットは20世紀初めに文芸作品における仕掛け(小説や映画で描かれる想像上の産物)
として世界に登場したという書き出し。この頃は、自動車、電話、飛行機が急速に普及した
時代であったと。

reckless jazz-age speed」-なかなか文学的な表現です。

ところが、

想像上の産物から実際の存在への進化してきたものの、ロボットはちょいがっかり(ちょっと
期待外れ)という存在に終始してきた(「Since moving from the page and screen to 
real life, robots have been a mild disappointment.」)と指摘します。

つまり、

人間が自分ではできないことを代わりにやってくれるのだが(「They do some things that 
humans cannot do themselves....」)、工場などの決められた場所以外での仕事と
なると、依然として非常におバカさんである(「robots are still pretty stupid」)と、反論
できないのをよいことに随分な言いようです。

ところが、

現在はこうした状況は変わろうとしているようである。(「That seems about to change.」)
というある程度ぼやかした表現になっています。

その原因としては
半導体、センサー、高速通信技術の発達は大きい(「The exponential growth in the 
power of silicon chips, digital sensors and high-bandwidth communications 
improves robots just as it improves all sorts of other products.」)

さらに、ロボットに特有の3つの要因が働いている(「three other factors are at play」)

ひとつは
研究開発がしやすくなったこと。ある技術の発達が容易に他の分野に応用できるようになり、
技術的なプラットフォーム(基盤)を作るコストが低下した。その結果、ロボットの開発費用が
大幅に低下した。

2番目の要因は、
ロボットへの投資が活発になったことで、グーグルはロボット関連のスタートアップ企業8
を買収した。これにクラウドコンピューティングや人工知能の技術が組み合わさるとどうなるか
楽しみである。

3の要因は
想像力である。ちょっと分かりくい表現ですが、つまり、最初の頃は思いつかなかったような
分野に応用範囲が広がっていることですな。たとえば、映画「ゼロ・グラビティ」が撮影できた
のはカメラと照明を動かすロボットのおかげだそうです。
さらに、無人機(ドローン)も応用範囲が農業、交通管理その他に広がりを見せている。


と、ひとしきり急速な発展状況を紹介したところで、マイナス面に移ります。

お馴染みの、ロボットが人間に置き換えられることで雇用に悪影響があるという議論で、
アマゾンの倉庫で活躍するロボット、あるいは、農業でも雇用数が大幅に削減するのでは
という観測です

ということで、
ロボットと人間との関係はどうなるのか、どうなるべきなのか。

ここで、

Robotic prowess will to some extent be taken for granted.

という表現が出てきます。

prowess」―優れた技術(腕前)

そのまま訳すと「ロボットの持つ優れた技術が当たり前と思われる」となりますが、後の文章を
読んでいくと「優れた技術としてのロボットだけが語られる」という意味合いですね。

つまり、ロボットが単独で活躍する(人間のできないことをする)という未来像が語られがち
だが、人間との共存というビジョンもあるという提言です。

ここで、日本のアザラシの赤ちゃんを模したロボットを例として挙げています。

A Japanese robot resembling a baby seal, which responds amiably to stroking 
and can distinguish voices, seems to help elderly patients with dementia.


さて、最終結論の部分です。

People, companies and governments find it hard to discuss the ultimate goals of 
technological change in the abstract. ........ robots can serve not just as workers 
and partners, but as purveyors of new perspectivesnot least when the people 
looking at them see the robots looking back, as they one day will, with something 
approaching understanding.

人々、企業、政府のいずれも、技術の進歩がもたらす最終目標について抽象的に議論する
ことに難しさを感じている(議論ができないでいる)。どう考えたらよいか。

エコノミストの結論は、ロボットは単なる労力ではなく、パートナーでもなく、新しい見方や
考え方を示してくれる存在(「purveyors」―発信源)になり得るということのようです。

特に(「not least」)、ロボットを見た時に理解に近い感情を伴って視線を返してくれるといった
ような時代が来た時にそうなるだろうと。

something approaching understanding」というのは、トリッキーな表現ですね。

ちょっと分かりにくいですが、ロボットのさらなる発達によって人間との間で今まで思っても
みなかったような近しい関係をもたらすような存在になるのでは、あるいは、なってくれれば
よいなということのようです。

哲学的な命題も含まれるだけに、よくよく読むとなかなか手ごわい記事でありました。

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