2014年1月21日火曜日

「英語にハマりませんか?」No.87

今回は久しぶりにアメフトを取り上げます。

というか、今がまさに決勝のシーズンで、22日のスーパーボールに向けてエキサイティングな
試合が続いてきました。

スーパーボールの対戦相手が決定するリーグ決戦は先週末に行われていますが、私はCATV
再放送(20日と21日の夕方放送)を見ますので、Denver Broncosが勝ったことしか分かりません。
Seattle SeahawksSan Francisco 49ersは今晩見ます。

ということで、

この時期になると、PodCastで無料配信されている「ESPN: Football Today」の予想や結果の分析を
聞いています。あちらの解説は、日本のようにひたすら持ち上げたりしない、時にかなり辛口なので
面白いです。

特に、プロボールというスーパーボールの前哨戦(常にハワイで行われます)――スーパーボール
出場チーム以外から選抜されたオールスターといったゲーム――については、厳しいタックルは
ないし、ゆるーい感じのゲームで、ESPNの解説者は全く評価せず、露骨にフンといった扱いです。
日本の花相撲みたいなものですか。

今回は、このESPNの解説でピックアップした、面白い表現を取り上げます。

まず、アメフトの解説では、「......playerという表現がよく出てきます。

たとえば、「Situational player」というのは、状況判断に優れた選手を意味するようです。

また、「Stand-out player」(際立った選手)、「explosive player(爆発的な力を発揮する選手)」
なども聞かれます。

それから、「he is a up and coming guy but not a difference maker」という表現も面白いです。
伸び盛りの選手だが、試合を方向付けるような重要なプレイヤーではまだないということですか。

こういう表現は、企業における社員の働きを一言でパシッと評価したい場合に応用できそうな
感じがします。

その他に気づいた表現としては、

I don’t understand why he is so sought after. ……. I am kinda wishy-washy on him.

あるコーチの去就についての話で、彼が非常に評価が高いことに疑問を呈したコメントです。
wishy-washy」-はっきりしない、分からないという感じですね。

Lions are intrigued by his ability to relate to the quarterback
あるコーチがクォーターバックとのコミュニケーションがうまいという評価です。

それから、アメフトの場合、敵のチームをたたきのめす(このゲームの場合は文字通り)
という表現が多いですね。

They need a big guy to pummel the team and beat them down
Denver’s defense has been banged up」などなど

最後に、

アメフトのゲームやプレイとは直接関係ありませんが、

my tongue firmly planted in cheek

という面白い表現が出てきました。

tongue in cheek」とも言うらしいですが、「indicating that a statement was not meant to be 
taken seriously」という意味(冗談ですけどねという感じかな)だそうです。

舌を頬の内側に押し付けることで笑いをこらえるという行為から来ているようです。

今回は、軽い話題でお茶を濁してみました。

2014年1月15日水曜日

「英語にハマりませんか?」No.86

Economist誌の「World Economy in 2014」という年初の経済展望を取り上げます。

安倍政権の安全保障戦略と靖国神社礼拝の記事もありますが、それほど目新しい見解は
ありません。

前者については、積極的平和主義」は英語で

proactive contribution to peace /proactive pacifism

訳されていること、

そして、後者については、さまざまな国の反発は出ているものの

Mr. Abe’s gamble looks, for now, to be fairly low-risk

と評価しているが、但し

That Mr. Abe appears to have got away with it this time is no guarantee he would
 keep doing so
(今回は切り抜けそうだが、次回はそうはいかないかもしれない)

というマイルドな警告に留まっていることを紹介しておきます。


さて、2014年の世界経済の展望ですが、

Why optimism may be bad news
Good news about global growth risks pushing interest rates up and 
politicians’ appetite for reform down

という見出しで始まります。

最初の文章は、

ALMOST every year since the end of the financial crisis has started with 
rosy expectations among American forecasters, and this one is no different.

ということで、そう言われればそうかなという感じです。

アメリカの経済について株式を初めとして数字的には確かに元気だとした上で、

Yet amid the new-year cheerit is worth remembering that almost every year 
since the financial crisis upbeat expectations have been disappointed. 
The biggest danger this time round is the optimism itself.

Economist誌らしい冷静さというか、冷たさで、金融危機以降、景気浮揚への期待感は
裏切られ続けていること、そして、一番危険な要素として楽観主義が広がっていることを
指摘しています。

何はともあれ、現状では先進国全般で経済は改善している。特に、アメリカは、

America’s growth rests on strong foundationsFirst, household and 
corporate balance-sheets are in good shape. ...... The revival in house 
prices is testament to thatSecond,thanks to cheap energy, years of wage 
restraint and a relatively weak dollarAmerica is competitive.

家計と企業の両面で好調であり(住宅価格の回復は何よりの証拠)、安いエネルギーと
賃金、ドル安の相乗効果で競争力を維持している(「thanks to…以下の表現は単調に
なりがちな経済関係の文章に色づけしようという工夫ですね)。

ということで、
アメリカ経済は特に輸入を通じて世界経済の改善に貢献していると指摘しています。

一方で、

The trouble is that trade channels are not the only, or even the main, way in
 which America’s economy affects the rest of the world. Financial markets are a 
more powerful influence ……
この言い方は面白いですね、表現的なひねりがよいですね。

アメリカの経済が強くなると、投資家はFEDが予想よりも(2015年中盤)早目に金利を挙げる
のではないかと考える結果、国債の利回りが急激に高くなる可能性があると指摘します。

もうひとつのリスクは、

A more subtle, but still pernicious, risk is complacency. Politicians are always 
keener to take credit for growth than to tackle tough reforms.

pernicious」-有害な、危険な

景気が少し良くなることで安心感が広がって、財政の改善などの難しい改革に政治家が
手を付けないという問題です。

確かに、今は各国がお金をじゃぶじゃぶ出して株式やその他の市場を文字通り景気づいて
いるわけで、特に、

The euro area cannot enjoy real prosperity until its overhang of private debt is 
reduced and its young people are brought back to the labour market.
ユーロ圏は、累積している民間の負債を削減し、若い人の雇用が増えるまでは、本当の
繁栄を享受することはできない)

overhang」―辞書的には過剰、だぶつきですが、立ち込める負債問題といったところでしょう。

そして、最後に、

Bear that in mind if you start to feel too upbeat

という皮相的な表現で締めくくっています。

楽天的になる前にこういう状況を忘れない方がいいよ」というのが私の訳です。

2014年1月10日金曜日

「英語にハマりませんか?」No.85

今年最初ということで、Economistの経済見通しあたりと思ったが、面白そうなのがなかなか
見つからないので、All the President’s Menにします。

ほぼ半分まで来ました。

前号までの展開で、マスキー議員による選挙活動の妨害をニクソン陣営が陰で操っていたという
疑いが濃くなってきます。

Bernsteinが同議員とそのスタッフから聞いた妨害活動の数々とは、マスキー陣営の名前を騙って
(偽のレターヘッドを使い)、ケネディーのスキャンダルについての文書を民主党議員に送付、
これによって、汚い行為(unethical campaigning)と批判されることになります。

また、

a fund-raising dinner has been harassed, as unordered liquor, flowers, pizzas ….. 
arrived COD

(古典的ないやがらせ。当然「受取人払い」でしょうね。ほかに、世論調査のデータの紛失なども
妨害活動の例として含まれます。)

一方、西海岸で取材している記者から、
Segrettiの南カリフォルニア大学時代の「fraternity brother」だったYoungという弁護士から
面白い情報を聞いたと知らせてくる。

それによれば、Segrettiは、Hunt(前出;ホワイトハウスのコンサルタントとして諜報活動に従事)から
自分への通話記録(指令)がFBIに発覚したと話していた。

これでまた新しいつながりを発見。

また、Segrettiは、自分は中央政界につながりを持つ共和党系弁護士(カリフォルニア)の依頼を
受けて働いているとも話していた。これでぴんとくるのは、ちょっと前に出てきたニクソン大統領の
個人弁護士(Kalmbach)!

ひとつ明らかになってきたのは、ニクソン陣営による対立候補の大会の妨害はウォーターゲート
以後は中止されていた(all bets were off after Watergate)と思われていたが、実際には
マイアミでの妨害活動は続いていたということです。

どうも、妨害活動に従事している連中はあまり切れ者ではない(「According to Deep Throat, 
these are not very bright guys」)。ウォーターゲート事件もへま(bunglingである。

ポストとしては、上記のSegrettiとホワイトハウス関係者がつながっているという話を書きたい
のだが、上記の情報を提供してくれたYoungが公にされるのを渋っているため、Bernstein
ロスにある彼の事務所を直撃し、1時間ほどインタビューする。

そこでさらに聞き出したのは、SegrettiFBI捜査官の訪問を受けた時、事前に情報が得られて
いなかったことでパニックになったことである。彼としては孤立無援の状態になり、いけにえになる
ことを恐れたらしい
(「He was afraid of being left out on a limb, sacrificed without any protection or coverage.」)。

Youngはさらに、Segrettiが資金の提供を受けていたのは大統領に近い友人(high-placed 
friend)である弁護士だとは語ったが、名前は明かさなかったと述べた。

それでも、その弁護士がNewport Beachに住んでいると聞いていた。
ということは、大統領の個人弁護士のKalmbachです!

Segretti自身は自分の活動をどのように考えていたかというと、民主党の候補にトラブルを
作り出すための「political highjinks(どんちゃん騒ぎ/乱暴ーということは、「悪乗りのお祭り騒ぎ」
という感じですかね)」であると。

Segrettiは、大陪審に喚問された時も、Chapin等に連絡をとろうとしたが、駄目だったので、
再びパニックになったそうである。まさに「left out on a limb」ですな。

Youngの証言は続きます。

Segrettiは、大陪審でFBIに言ったのと同じことを証言したと話していた。

特にきわどい内容ではなく(not any damaging material)、

innocuous thing about being involved in some campaign activities
キャンペーン活動に関わるあたりさわりのない出来事)

について聞かれたが、陪審員の1人がSegrettiにお金を払っているのは誰かと質問してきたので、
例の弁護士の名前を挙げた。それからホワイトハウスで知っている人間はと聞かれたので
Chapinの名前を答えた。

ということは、
司法省は、こうした事実を知っていたにも関わらず、「had done nothing to follow up
ということになる。

従って、

Bernstein wondered how the prosecutors could have been manipulated to accept 
such a decision(どうやって丸め込まれたんだろう?)―「manipulate」はごまかす、操るという
意味ですが、ここでは丸め込まれた、がよいと思います(最近、薬のデータの「操作」という
言葉が出てきましたが、どう考えても改ざんですよね)。

Segrettiは、さらにHumphery候補に対して手紙やパンフレットを使った「scurrilous attack
(汚い攻撃)」を行ったとも語った。そして、自分は雑魚(cod)であり、他にも活動していた
多くの仲間の1人にすぎないと言い訳を口にした。

Youngは、最後に、上記のSegrettiについての証言は

no violation of the attorney-client privilege was involved
(弁護士/依頼人間の秘匿義務違反が無い)」

のであれば、「on the record」にしてもよいと述べた。
(このattorney-client privilegeというのは、さまざまな裁判記録の翻訳でよく出てきました)

そして、その後、自分の名前が記事で公表されることに同意する。

Segrettiとの話は「off-the-recordであるが、事項にはあたらないので、記者2人を含めた
3人で共有できる。

これで、ポスト紙はYoungの証言を引用できることになり、ホワイトハウスは、
anonymous sourceからの情報で信頼できないという抗弁はできなくなった。