2014年2月25日火曜日

「英語にハマりませんか?」No.91

冬季オリンピックも終わりました。やっぱり夏と比べるとちょい地味ですね。

私はアイスホッケーが好きで(カナダにおりましたので)、あまり見られないのは残念
でしたが、最終日のスウェーデン対カナダが放映され、ちょいと楽しませてもらいました。

プロリーグのような厳しいボディーチェックが無いですが、スティックさばきや、ゴール
前の攻防はさすがに見どころがありました。

さて、今回は、
フィギュアスケートの判定についてのワシントンポスト電子版の記事を取り上げます。

ロシアのソトニコバが金妍児に勝ったということで、日本ではあまり関心がなかった
ようですが、多少物議をかもしているようです。

タイトルは、

Adelina Sotnikova’s Olympic gold medal win over Kim Yu-na will be endlessly argued

書き出しもなかなか面白い。

Forget what your own eyes saw. That’s just figure skating: It’s rarely obvious
and it’s almost always maddeningly controversial, and so the gorgeous skate-off 
between Adelina Sotnikova of Russia and Kim Yu-na of South Korea for the 
Olympic gold medal will be endlessly argued.

「あなたの目にどう映ろうとも、これがフィギュアスケートというものだ」という感じかな。

明確に優劣が分かることは稀で、常に議論が付きまとう(maddeninglyというのが
いいですね)。今回も例外ではないと。

さらに、

This sport, so brightly lit, can be algebraically unintelligible when it’s not corrupt......

このスポーツは、明るい照明の中で行われるのだが、不正が行われていない場合は
代数と同じように不可解となる場合がある」

algebraically」というのは、数学がそれほど得意でない私としては分かります。

従って、選手としては、ジャンプを何回も飛び、派手な衣装をひらひらさせて、後は
幸運を祈るしかない、と非常に皮肉たっぷりです。

それをうまくやったのがソトニコバだという訳です。

Sotnikova, 17, is the new out-of-the-blue Olympic champion, and how she 
managed to unseat the empress of the sport, Kim, much less by an overwhelming 
margin, no one is quite sure.

突然出現したソトニコバが、どうして金妍児に勝てたのかーいわんや大差でーは、
誰にも分からないと、ちょっと審判がおかしいじゃないのという論調です。

そして、

It was impossible to call such a performance anything but deserving. But was 
Kim truly undeserving?.....」

二重否定みたいな感じで、ソトニコバの演技が1位の資格が無いと断じることは
できないが、それでは、金妍児にその資格が無かったのか(というとそうでもない)?

ほとんどの専門家が判断に迷い、意見が割れるような演技だったが、5点以上も
差がついたのが余計分からない。

公平を期すため、ワシントンポストは、相反する2人のオリンピックのメダリストの
意見を聞いています。

どちらの意見も一方は少し(細かい点で)他方に勝っていた/劣っていたという違い
でしかありません。

さらに、公式のスコアカードを比較しても、ソトニコバのプログラムの方がわずかに
難度は高かったが、コンビネ―ション・ジャンプやステップでミスが見られたと甲乙
つけがたしという見解です。

ということで、

If there is true cause for controversy, it was not about who won gold, but the gap 
in scores.

議論の核心はどちらが勝ったではなく、スコアの差にあるとしています。

ソトニコバは自己最高を18ポイントも更新し、今シーズンの全選手の最高得点を
8.44ポイントも上回ったというのは(おかしいじゃない、とはこの記事は書いて
いませんが、強く示唆しています)。

一方で、金妍児は、怪我から回復して間もないし、大歓声で祝福されたソトニコバの
後に演技するというやりにくさもかなり影響したのではと指摘しています。

それに比べて、ソトニコバは新鮮だった。初めてのオリンピックというだけでなく、
大舞台も経験したことが無い。にもかかわらず、

She seemed totally, joyfully oblivious to her status as one of the great Russian 
hopes in the Sochi Games.

つまり、国を背負っているという気負いが無かった。

ということで、

Exactly what the judges saw, we’ll never know because they are as opaque 
as the ice. Maybe the audience at home would understand it all better if, 
instead of these inscrutable binomial calculations, the judges would just write, 
“I liked her better.”

審判の目にどのように映ったのかは氷と同じように不透明だがという、あまり面白く
ないダジャレもまじりますが、分けのわからない計算に基づくスコアよりも、
彼女の方が好ましい」と書けばよかったのではないか(というか、そういう気持ちが
スコアの大きな違いに出たのではないかという示唆でしょうね)

結論として、

That’s certainly how an arena full of Russian fans felt, and even if you didn’t 
share their nationalist fervor or frustration, Sotnikova gave the kind of powerful, 
carefree performance that was easy to prefer.

地元の観客ならずとも、いいなと思わせるような、力強い、のびのびとした演技をした
ことがソトニコバの勝因と締めくくっています。

この種の記事としては、どちらに偏ることもなく、フィギュアスケートという、微妙な
判定競技の結果をうまく解説していると思います。

2014年2月18日火曜日

「英語にハマりませんか?」No.90

今回は、いつもながら歯ごたえのあるEconomistの記事を取り上げます。

タイトルは、

The global economy
The worldwide wobble
The world economy will have a bumpy 2014. But the recovery is not, yet, at risk
Feb 8th 2014

wobble」-動揺(move unsteady movement)ですね。

ちなみに、この記事の挿絵は一輪車に乗って傘を差しながら綱渡りをしている人の図です。

2014年の前にaを付けるのが面白い。
変動が激しいだろうけど、どのような、どの程度の変動かが分からない1年ということでしょうか。
これ使えるとカッコいいですね。

「しかし」と来て、次が「回復についてリスクは無い」というのが「bumpy」という言葉の後に来る
ので、うっかり読むと反対の意味にとりそうな、Economist特有のトリッキーな文章と私の目
には映ります。

まず株式市場の最近の下落について振り返ります。

FOR much of 2013 the world’s big stock markets had a magical quality about 
them.

という文章で始まります。

a magical quality」というのが面白い。
ここで質という言葉を使う(不思議な資質を見せたという感じですかね。あまりピンとこない
です)。

主要市場の下落の数字を挙げる中で、「the magic has abruptly worn off」ということで、
さきほどの「magicalと重ねています。

それから、この急降下についての分析に入りますが、パラグラフの冒頭が

That investors should lock in some profits after such a remarkable surge 
is hardly surprising.

という変な構文で始まります。なるほどね。どっかで使ってみようかな?

lock in」-固定する(確保するー私ならsecureですね)

相場自体がかなり高くなっていたことによる調整だったのでパニックになる必要はない
scarcely grounds for panic)と来て、最後に

Far easier to explain the market gyrations as a necessary correction.

と省略文になっているのはなぜでしょうか?

market gyrations」-こういう言葉は思いつかないですね。必然的な調整(修正)
というのは分かります。

ということで、株価は常に変動するが、基本的には経済(基礎となる)で決まるとしつつ、

(「Prices always jump around, but in the end they are determined by the 
underlying economy.」)、

楽観は戒めます(「Here it would be a mistake to be too sanguine.」)

ここでHereというのが面白いですね。

楽観しない方がよい理由としては、どうも

Economists are notoriously bad at predicting sudden turning-points in 
global growth.

ということで、経済評論家の予測を信用しすぎちゃだめだよと。

一方で、悲観するのはちょっと行きすぎだと来ます。

On balance, however, this newspaper’s assessment of the evidence to date 
is that investors’ gloom is overdone.

On balance」というのは使えそうな表現ですね。

gloom is overdone」―憂鬱になるのは行きすぎ」

アメリカの景気回復は勢いを失っていないし、中国経済も減速しているが、不況になる
リスクは低いというお見立てです。ということで、

For now, this looks more like a wobble than a tumble.

ということで、総論を終わって、後半は米国、中国、新興国の見通しについて解説します。

Since the United States is driving the global recovery, sustained weakness
there would mean that prospects for the world economy were grimBut that 
does not seem likely.

アメリカの世界の景気回復をけん引している以上、低迷が続けば世界経済の見通しも
暗くなるが、その可能性は少ないと、ネガティブな仮説を言っておいてそれを否定する
という構文になっています。

そして、最近の数字が悪いのは天候のせいであると(この説明については、ネット販売も
ちょっと不調ということもあって疑問が呈されているようですが)。

従って、

It suggests that all the figures for January, including the all-important
employment figures ........should be taken with a truckload of salt.

all-important」-きわめて重要な
with a truckload of salt」―なるほど!「with a grain of salt」をもじったわけです。

つまり、1月に発表されたネガティブな数字は、だいぶ割り引いて聞かなければならない
ということです。

さらに、アメリカの家計は堅調だし、株式の下落は多少マイナスの影響があるが、
投資家が国債に向かうことで金利は下がるのでプラスという解説です。

一方で中国についての分析は、確かに減速しているが、バブル崩壊というほどではない
としています。

Many investors fear a “hard landing”Their logic is that China has reached 
the limits of a debt-fuelled and investment-led growth model……

多くの投資家は、成長モデルが限界に達したという理由からハードランディングを懸
しているが、中国政府は崩壊(routを防止する力を備えており、

「...it remains more likely that China’s growth is slowing rather than slumping.

成長が鈍化しているといった方がよいという見解です。

他の新興国も同じく「If fears about a hard landing in China are exaggerated, then
so are worries about a broad emerging-market collapse. That is because the 
pace of Chinese growth has a big direct impact on emerging economies as a whole.

最後に、欧州と日本も皮肉な意味で楽観の下支えになると言及

The final, paradoxical, reason for guarded optimism is that the market jitters
make bolder monetary action more likely in Europe and Japan.

欧州も、日本もさらなるQEが必要であるということですね。

「....the European Central Bank …… needs to do more to loosen monetary 
conditions. Really bold action, such as buying bundles of bank loans, is more 
likely when financial markets are in a funkThat logic is even stronger in Japan
whose stock market has fallen furthest and where the economy will be hit by 
a sharp rise in the consumption tax on April 1st. So more easing is on the cards.

in a funk」-おじけ
on the cards」-たぶんということ。

結論としては、

If this analysis is correct, the current market pessimism could prove temporary.......
Our prognosis is a lot better than the outcome markets now fear. But it would 
not be much to get excited aboutThe global recovery will be far from healthy: too 
reliant on America, still at risk from China, and still dependent on the prop of easy 
monetary policy. In other words, still awfully wobbly.

prove」-ということが明らかになる(確かめられる)。

ということでEconomistらしい、警告に満ちた締めです。

あー、疲れた!

2014年2月14日金曜日

「英語にハマりませんか?」No.89

最近単語カードを使い始めました!

懐かしいというか、ある意味新鮮というか、アナログな英語学習法もよいものですね。

これまで、毎日の読書やヒアリングでピックアップした単語をエクセルに入れて整理していたの
ですが、どうも一度入力してしまうと、達成感が出てしまうのか、その後復習するということを
しなくなります。だんだん数が溜まってくるとお腹いっぱい!という感じです。

10年ぐらい前に、知り合いの伝手で単語の独習プログラムといったものを作ってもらったことが
ありました。

単語と例文を入れ、設定した単語(5-10個)について意味を書くとか、正解を選ぶとか、
例文を埋めるといったテストを行うもので、コンセプト的にはよいかなと思っていたのですが、
いざ使い始めると、意外に入力が面倒くさい!

私のようにキーボードに慣れた者でもだんだんかったるくなってくる。
コピペに慣れているせいもあるのかな。

そして、テスト自体も最初はもの珍しさで毎日やっていましたが、だんだん億劫になり、
フェードアウェイ!

やっぱり、ゲームを初めとするアプリは、多くの人が知恵を出し合って製作しているだけあって
飽きないようにできているなと思います。

ということで、単語帳!

ふと思いついて、最初は一番小さいのを買いました。

ところが、あまり書き込めない。
単語だけ書いて覚えるような齢ではないので、例文をまるごと書き込もうとすると小さい。

ということで一回り大きいのを買って、入れ始めました。

まーいつまで続くか分かりませんが。いいのはパラパラと適当にめくれるので気軽に復習できる
点ですかね。

テストで確認するのもよいが、毎日繰り返し見ていると馴染んでくるというか、古き良き受験時代を
思い出します。テレビ見ながらでもよいし。

古典的なアプローチでもデジタル化の時代に通用するということか、あるいは、クリック数回で
情報が手に入る時代に、手書き、手でめくるという「手間」がかえって新鮮に感じるのかもしれません。

といったところで、今回も雑ネタ。
次回は、Economist世界経済展望の記事を分析してみます。

2014年2月6日木曜日

「英語にハマりませんか?」No.88

いやー、久しぶりに仕事が詰まり、ブログが頭からすっ飛んでしましました。
どんな仕事かは守秘義務がありますので、言えませんが。

やっぱり、仕事となると「しゃきりぴん」という感じで気合が入ります。

さらに言えば、若い時よりも余裕が出てきたというか、だいぶ楽しめるようになって
きました。インターネットというサポート環境が整ってきたことは大きいでしょうね。

以前は、大きな辞書や参考書を引っ張り出したり、あるいは、国会図書館といった
資料の整った場所に行ったりといった、調べ物にかなりの時間を割いていましたが、
現在はだいたい数クリックであらゆる情報が分かります。

まあ、こうした便利な環境を使いこなすにはそれなりのノウハウ(自分の頭に浮かぶ
訳語を思い浮かべてそれがネット上で見つかるかどうかを検索する等)は必要ですから、
以前に行っていた面倒な下調べは、素地を築くための一定の役割を果たしたのかな
とは思います。

いずれにしても、ほんの数十年前には、「こうなったらよいな」という世界が実現して
いる訳ですからまさに驚嘆です。

一方で、昔の人間だからかどうか、個人としてコツコツ能力を磨くのも大事だな
という考えは変わりません。今回の繁忙期にあたっても、毎日最低限の英語の
エクササイズは欠かしませんでしたから。

現在行っているのは、Mobile English(増進会出版社)というテーマ別に英語の短編と
会話を収録した本を音読し、CD聞きながらシャドーイングするというのがひとつ。

そして、Street Speakシリーズと言うアメリカのスラングを紹介している会話集を
使った同様のエクササイズです。

前者については、「New York」、「Diet」を初めとするさまざまなテーマについて24
トピック(11トピックで月から土、1か月で読み切る計算です)が書かれており、
なかなか勉強になります。何か知識(それも、高尚なものではなく、トリビアに近い
豆知識)を得ることから満足を得る私としては、朝一番仕事を始める前の準備体操、
そして、仕事の合間の気分転換に最適の活動です。

一方、Street Speakシリーズは、スラングとか、野卑な表現にあこがれている(実際
には上品?な会話を好む私としてはあまり使わないのですが、悪にあこがれるというか
どうにも惹かれます)私にとってはたまらない教材です。毎日1レッスンをCDについて
発音していると、一味変った英語の世界に誘われます。CDはかなりのスピードで録音
しているので、ついていけると気持ちがよいし。

といったところで、忙しかった2週間あまりで疲れた肩や首の回復を図りつつ、また、
これまでの連載を再開しようと思っています。

今回はこれでお茶濁しです(そういえ前回もそうでした!)