2014年3月26日水曜日

「英語にハマりませんか?」No.95

最近の記事はウクライナばかりで、Economistは特に力を入れていますが、私はひねるのが
好きなせいか、あまり注目を浴びていない国に興味を惹かれます。今回はちょっと前の記事
2/15)ですが、アルゼンチンについて取り上げます。

The parable of Argentina
There are lessons for many governments from one country’s 100 years of decline

parable」とは一体なんぞやと調べてみると、

a short, simple story, usually of an occurrence of a familiar kind, from which 
a moral or religious lesson may be drawn

ということで、日本語では「寓話」ということになりますが、「アルゼンチンの(という)寓話」
という訳はぴんと来ません。

脈的に見ると「教訓」でもよいと思われますが、これだと次に出てくる「lessonも教訓に
なってしまいますのでどうするか?考えどころです。

さあ、100年間低迷というか、没落している国からどんなことが学べるのか?

記事は

A CENTURY ago, when Harrods decided to set up its first overseas emporium, it 
chose Buenos Aires.

から始まります。
100年前ハロッズが最初の海外支店を開設したのがブエノスアイレスだそうです。

emporium」-中心地/百貨店

そして、

In 1914 Argentina stood out as the country of the future.

ということで、「前途洋々たる国だった」という感じですかね。

1人あたりGDPはドイツ、フランスを上回り、豊かな農地、温暖な気候な民主国家、そして、
タンゴです。

Immigrants tangoed in from everywhere. For the young and ambitious, the choice 
between Argentina and California was a hard one.

tango」-辞書的には無いですが、踊るようにやってきたという無理やりな比喩的表現。
そうか、カリフォルニアと同じくらいの人気だったのだ!

いまでもアルゼンチンには魅力的なものがたくさんある、パタゴニアからメッシまで、そして、

The Argentines remain perhaps the best-looking people on the planet. But their 
country is a wreck.

と落としてきます。
ハロッズも1998年に閉店し、経済はご存知の通り度々危機に見舞われている。

ということで、

Why dwell on a single national tragedy?
(なぜ、アルゼンチンにこだわるのか)

という話に移ります。

世界は以前のように共産主義や全体主義に走る心配はもはやない一方で、

The real danger is inadvertently becoming the Argentina of the 21st century
Slipping casually into steady decline would not be hard.
(本当の危険は、アルゼンチンのように定常的な衰退になんとなく落ち込んでしまうことに
ある)

というのがEconomistの「concernです。

Extremism is not a necessary ingredient, at least not much of it: weak institutions, 
nativist politicians, lazy dependence on a few assets and a persistent refusal to 
confront reality will do the trick.

つまり極端な思想はあまり問題ではなく、弱体化した体制、保護主義的な政治家、過去の
資産への依存、現実に目を向けないといったことがこうした事態を招くと。こう読んでくると、
日本も同じ運命をたどりつつあるのかなとふと思ってしまいます。

確かに不運も重なったが、

Ill fortune is not the only culprit, though. In its economy, its politics, and its 
reluctance to reform, Argentina’s decline has been largely self-inflicted.

culprit」は結構よく使う単語ですね。

つまるところ、アルゼンチンの衰退は自業自得の面が大きいと。

中でも、アルゼンチンの強みである農産物が逆に災いのもと(curse)となっている。

1世紀前は輸出用の牛肉の冷凍技術をいち早く取り入れたものの、付加価値を付ける努力を
怠ってきた。

even today, its cooking is based on taking the world’s best meat and burning it
(いまだに焼くだけだという厳しい指摘です。)

そして、非効率な産業をひたすら保護する閉鎖的な経済を維持してきたという説明です。

それから、世界に先駆けて導入した民主主義を守り育てるための政治制度を築くことを怠り、
軍による介入(クーデター)を招いてきた。

Unlike Australia, another commodity-rich country, Argentina did not develop 
strong political parties determined to build and share wealth: its politics was 
captured by the Peróns and focused on personalities and influence.

同じように資源の豊かな国オーストラリアのように強固な政党制度を育ててこなかった)

ここでは「commodity-rich」となっていますが、「resource-rich」でもOKでしょうね。
commodity」というと産物になりますが、オーストラリアの場合は鉱産物も大きいですから。
日本語的には「資源大国」といった表現が通りやすいですね。

アルゼンチンではまた汚職もひどい。
Graft is endemic: the country ranks a shoddy 106th in Transparency International’s 
corruption index.

shoddy」-106番目という「お粗末さ」というところでしょう。

こうした状況に対して、アルゼンチンの指導者は、カリスマ的なリーダーとか、ひたすら手早い
(というか安直な)解決策を求めてきた。

Argentine leaders prefer the quick fix—of charismatic leaders, miracle tariffs 
and currency pegs, rather than, say, a thorough reform of the country’s schools.

ここで

Argentina’s decline has been seductively gradual.
アルゼンチンの衰退は感心するほどゆっくりと進行した)

という面白い表現が入ります。

Throughout its decline, the cafés of Buenos Aires have continued to serve 
espressos...... That makes its disease especially dangerous.

つまり、蛙を水の入ったポットに入れて下から火であぶるとだんだん温度が上がってくるので
気が付いた時は熱くなって死んでしまうというのと同じですかね。

先進国も決してこうした傾向が無いわけではない(「The rich world is not immune.」)
カリフォルニアだってそうだし、イタリアだって似たような病に罹っていると。

それでも、新興国の方が危険である。多くの国が商品輸出に力を入れているが、国内の
体制の整備を怠っている(「Too many countries have surged forward on commodity 
exports, but neglected their institutions.」)ロシア、ブラジル、トルコと例は続きます。

これまで「institutionsという言葉が何度も出てきます。

制度ということになりますが、ここで使われている文脈的には「国の政治制度/体制」という
訳がもっとぴったり来るようです。

ということで、結論に入ります。

The lesson from the parable of Argentina is that good government matters
Perhaps it has been learned. But the chances are that in 100 years’ time the 
world will look back at another Argentina—a country of the future that got stuck 
in the past.

アルゼンチンの実例から学べる教訓は、よい政府は重要だということである。
そんなことは分かっているというかもしれないが、これから100年の間に、将来がありながら、
過去の栄光にしがみついている別のアルゼンチンについて世界が回顧している可能性は
高いだろう。

と訳してみました。

good government matters」―簡単な表現ですが、ポイントをついています。
しっかりとした政治制度/体制を築き、維持するのが大事であると。

it has been learned」-教訓として学ばれている、つまり、そんなことは分かっている
としてみました。

この教訓は個人にも応用できるのかな?

私も最近ゆっくりと衰退してきているような気がします。

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