2014年7月2日水曜日

「英語にハマりませんか?」No.108

今回もWSJPodcast版から、アメリカで出た重要な判決に関するものを取り上げます。

私は一応法学部の出身なものですから、ニュースを見聞きする時、どうしても契約あるいは
裁判といったテーマに惹かれます。

遠い昔の大学時代は多少真面目に勉強したので、ひょっとしたらと思って1回だけ司法試験を
受けました。

今もあるのかどうか、第一関門の短答式で落ちました。

何しろ各問題(全部で50問だったかな)について回答が5つ提示され、そこから正解を選ぶ
のですが、さらに「ゼロ回答」といって提示された答の中に正解が無い場合もある!

結論としては全然お呼びでないレベルでしたね。ちょうどこの頃、石川達三という小説家の
「青春の蹉跌」という、司法試験を目指す若者が殺人を犯すという本を読み、その中に
出てくる司法試験についての描写から興味を持ったというのも受験の動機のひとつでした。

ミーハーというか、我ながら軽薄だったなと思います。ということで、1回であきらめました!
(これが駄目か?)

それでも、
法律そして法律家に対する、何と言うか、ノスタルジックな憧れは続いており、翻訳の世界に
入っても、契約書とか、裁判記録というと妙に力が入るというか、楽しんできました(やっぱり
好きなのですよね)。

ハーバード大学ロースクールに入った学生を描いた映画「The Paper Chase」も繰り返し
見ました(Lindsay Wagnerきれいでしたね)。

と中年オヤジのとりとめのない回想はこれぐらいにして、本題に入りましょう。

WSJPodcast版から聞き取った内容をニューヨークタイムズの記事で補足する形で
お届けします。

先週、米国の連邦最高裁判所は、

the police generally must obtain a warrant before searching mobile devices 
after arresting someone
逮捕者の携帯電話を検査する場合には裁判所から令状をもらわないといけない)

という判決を出しました。

ニューヨークタイムズによれば、この判決は、毎年米国で逮捕されている1,200万人
(軽罪も含めてですが、こんなに捕まっているのだ!)に影響を与えることになる
bold opinion」であり、「the first computer-search case」だそうです。

争点となったのは、携帯電話が

fall under long-term exception to warrant requirements
(つまり、逮捕者の携帯品については捜査令状が要らない)、

かであり、これまで下級審の判断が分かれていたので最高裁が判断したということです。

結論としては、携帯電話はプライバシーの対象として保護されるので令状が必要ということ
ですが、最高裁の議論がなかなか面白い。

携帯電話とアドレスブックは同じようなもので、アドレスブックについては逮捕時に検査
できるのに、携帯電話でできないのはおかしいという警察の議論に対して、最高裁は

That is like saying a ride on horseback is materially indistinguishable from 
a flight to the moon
(馬に乗るのも、月に行くのも移動するという点では同じだと言うようなものだ)

と一蹴しています。

なるほどね。

携帯電話は単なるアドレスブックをはるかに超えた多くの機能を詰め込んだものである
ということだそうです。

この判決を出した判事はこういうたとえが好きなようで、最初の時点で携帯電話は
日常生活の中で欠かせないものになっているという説明で

Cellphones are such a pervasive and insistent part of daily life that the 
proverbial visitor from Mars might conclude they were an important feature 
of human anatomy

と論じています。

pervasive」-普及している

insistent」―際立ったというところですかね。

proverbial」-かの有名な、となっていますが、何かの小説に出てくる火星人
ということでしょうか。

なるほどというほどのたとえではありませんが、なかなか面白い。
日本の最高裁判所の判決ではあり得ないでしょうね。

そして、ある調査によれば、スマートフォンのユーザーの4人に3人が常に5フィート以内の
至近距離に置いており、また、12はシャワーの中でもスマートフォンを使っているという
トリビア情報も開陳しています。

ということで今回は終了!

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