2014年10月31日金曜日

「英語にハマりませんか?」No.118

先週から始めたカルチャースクールの米小説購読会ですが、なかなか面白い。

まったりとした物語を読んでいるのですが、特に何か意味を持たせているのか、
それとも適当に書いているのか判断のしにくい単語や文章がちらほら出てきて
心地よく悩ませてくれます。

特に会話体はそうですね。

日本語でもありがちな、厳密に言うとそれほど意味が無いという表現もあるので
しょうが、通常であれば読み飛ばしてしまうところをしつこく考えてみるのは
新鮮な経験ではあります。

それから、行間を読むというか、書かれていないことを発見し、それがどのような
意味を持つかを考えるというのも面白い。

典型的な例を紹介したいところですが、前後関係も説明を要する場合が多いので、
分かりやすいのが出てきたらということで、最近仕事が忙しくないときに行っている
翻訳の練習教材で見つけた単語などを披露します。


前にも紹介しましたがForeign Affairsという外交論文集の載った2か月に一度
発行される雑誌から。

20117/8月号ですが、欧州は、安全保障をアメリカだけに任せておいてはダメだよ
という論文は、最近のウクライナその他の情勢を見ると示唆に富んでいます。

その中に、「enabler」という単語が出てきます。

現代の軍事力は「enablersが重要な役割を果たしているという論旨で、
辞書で見ると「影の助力者」という意味ですが、補助的な手段という感じで使われて
いるようです。

enabler」の例として挙げられているのが、

surveillance and refueling aircraft, as well as drones

ということで、日本も洋上給油等で「enabler」の役割を「好むと好まざるに関わらず」
果たしているのだなと思いました。

enable」というのは、ニュアンス的にはもうひとつ分からないのですが、
新しい技術によってある機能が実現するというような文章(ハイテク関連の翻訳では
よく出てきます)では、よく使わせてもらっています。

allow」とか、「permit」とは違ったニュアンスが表現できます。

といったところで、今回は以上!

2014年10月23日木曜日

「英語にハマりませんか?」No.117

いやー、だいぶ空いてしまいました。仕事が久しぶりに忙しかったこともあって(それから寒いし)。


今週から、某カルチャーセンターのアメリカ小説購読講座に参加しました。

色々な人が参加する勉強会とか、翻訳講座を考えていたのですが、小説をじっくり読むというのも新鮮な体験かなと思ってお試しで参加してみたら、なかなか面白いです。

人によって感じるところが違ったり、あるいは、シェアできたりと予想以上に楽しい1時間半でした。お堅い専門的な文章に慣れている私にとって、小説はあくまで娯楽というか、気分転換でしたから、ちょっと読んで分かりにくいところは、いい頃かげんで先に進んでしまうので、熟読というのはあまりしていません。 ということで、今後読み進める中で新しい発見があったら逐次お知らせすることにします。


さて、今週のネタは珍しくロイター(Reutersの配信から、アメリカのエボラ出血熱水際対策についての記事です。

こういう広く報道されているニュースでどのような単語(特に動詞)が使われているかに興味があって取り上げました。 見出しは、

U.S. to funnel travelers from Ebola-hit region through five airports

ということで、キーワードは「funnelですね。じょうごを通すように5か所の空港だけに

国場所を限定するという意味ですな。 The United States ratcheted up its safeguards against Ebola . requiring travelers from three countries …… to fly into one of five major airports conducting enhanced screening for the virus.


ratchet up」-歯車のようにカタカタと段階を上げるという感じ。reinforce」などもありでしょうね。

Restrictions on passengers whose trips originated in Liberia, Sierra Leone or Guinea were announced by the U.S. Department of Homeland Security…….. The precautions stop well short of the travel ban sought by some U.S. lawmakers to prevent more Ebola cases in the United States.
入口規制ということで、国土安全保障省が関わっているわけですね。

それでも、今回の予防策(precautions)は、一部の議員が提案している入国禁止に比べるとはるかに緩やかであると。

国土安全省の見解としては、

We are working closely with the airlines to implement these restrictions with minimal travel disruption

よくある表現ですね。そうでなくても、アメリカの空港は待たされますからね。 ということで、今日は寒いこともあってこれぐらいで!


2014年10月8日水曜日

「英語にハマりませんか?」No.116

The Washington Postの電子版の記事です。

前にも言いましたように、やはりアメリカでは裁判の記事が興味深いですね。

ちょっと読むといかめしい単語を使い、難しそうなことを言っているようですが、よく読むと
こんな屁理屈あり?みたいな時があり、興味が尽きません。

ロジックさえ通れば何を言ってもOKということなのでしょう。日本人にはちょっと分かりにくい
結論になることもしばしばです(日本人にとって、裁判というのは、常識というか、良識に
基づいて当たり前の判断をするという感じですので)。

さて、今回の記事は、

Muslim inmate takes his case for a beard to the Supreme Court

ということで、イスラム教徒の囚人が房内でひげを伸ばすことを認めろという訴訟です。
これがどうして最高裁まで行くのか?

冒頭の一文は、

It is not every day that a coalition of legal minds is rooting for a violent inmate 
convicted of stabbing his girlfriend in the neck.

root for ….」というのは、根っこ等の意味ではなく、応援(声援)する。

珍しくも、複数の弁護士が協力して囚人を応援しているというケースです。

現在最高裁で審理されているのは、アーカンソー州で終身刑の判決を受けている被告から
上告ですが、問題となっているのは事件自体ではなく、

lawyers …. arguing about what he wanted to do once he got there: grow a beard 
in observance of his Muslim religious beliefs

収監されている刑務所内でイスラム教の信仰に従ってひげを伸ばすことを認めろ(という
ことは認めていない)という訴えです。

本人はほんの0.5インチぐらいの長さに伸ばしたいと求めているが、アーカンソー州政府は、
たとえ短くてもセキュリティー上のリスクがあるということで拒絶している。

州政府によれば、この囚人は「violent self-declared fundamentalist」であり、宗教的な
自由は尊重するが、安全性の観点から間違いは許されないとのこと。

一方で、最高裁への上告には、キリスト教関係の団体も支持を表明していますし、また、
連邦政府も、うなじ(nape)に達しない長さであればOKとしています。

それじゃ、アーカンソー州がなんでまたこの囚人に対してひげを伸ばすことを禁じている
のかを見てみると、

a bearded prisoner could hide weapons, drugs or even cellphone SIM cards…

という理由を挙げています。本当かね!

また、もし囚人が逃亡した場合にひげを剃ってしまうと見つけにくくなるとか、収監中にひげの
長さをチェックするのに手間がかかるとか、あまり切実とは思われない理由が挙げられて
います。

一方で、問題の囚人については、同房の囚人にナイフを突きつけたり(ひげ以外の場所に
隠していたのでしょうね)、あるいは、政府関係者を攻撃するといった発言をしており、今回の
訴訟も刑務所の理容師との「戦争」だというわけです。だんだん訳が分からなくなってきました。

一方で、アーカンソー州政府としては、ひげを伸ばすこと以外のお祈りその他の宗教行為に
ついては認めているから十分ではないかとも反論しています。

どうも、私の感想としては被告有利という感じなのですが、最高裁の判決は来年の春だそうです。

ということで、今回は以上!