2014年12月20日土曜日

「英語にハマりませんか?」No.124

お寒くなってまいりやした。
暖冬と言っていたのがウソのようです(というか、ウソでした)。

という前振りとは関係なく、今回は久しぶりにEconomist誌の記事を取り上げます。


最新号の巻頭記事は、アメリカの警察に関わる問題です。

Criminal justice
America’s police on trial
The United States needs to overhaul its law-enforcement system

ということで、Economist誌にしてはストレートな(私の偏見かな?)表題です。

最初のパラグラフは、オハイオ州のスーパーマーケットで売っていたエアライフルを
手に取っていた男性が警察に銃撃されて死亡、それでも大陪審では銃撃した警官を
起訴しなかったというエピソードが紹介されます。

Most people have probably never heard this story, for such tragedies are disturbingly common: America’s police shoot dead more than one person 
a day (nobody knows the exact number as not all deaths are reported).

disturbingly common
辞書的には「心をかき乱す」とか「気がかり」ですが、ここでは
嫌になるほどありふれた出来事だから」という訳がよいかなと思います。

へー、アメリカでは平均で毎日1人が警官に射殺されているとは!

それでも、今回報道されているような事件は、さすがに関心を集め、全米での
デモに発展したようです。

これまでのところは、人種差別(特に黒人)の問題としての非難や論議が高まって
おり、確かに白人警官が黒人の被疑者(?)を射殺するという構図なのですが、
Economist誌は別の視点から分析しています。

つまり、

There is ……. another prism through which to examine these grim stories
the use of excessive violence by the state.

プリズムという表現はいいですね。「異なる視点」ということですが、

use of excessive violence」とは、国家による暴力の過剰な使用、
言い換えれば、国家による過剰な実力行使かな。

ここで、アメリカの刑事司法制度について俯瞰的に見ると、

…….overall the country is an outlier for all the wrong reasons.
(全体として見ると、他の先進国に比べて悪い意味で突出した存在である)」

It jails nearly 1% of its adult population, more than five times the 
rich-country average.

そうなのです。私がアメリカで過ごした80代の初め、刑務所に収容されている
のは100万人というデータを見てびっくりした記憶があります。
日本では8万人ぐらいでした。判決が厳しいことも一因となっているようです。

その結果、「America’s police are motivated to be rapacious…….
(傲慢(自分達こそが平和な日常生活の砦であるという意味で)になっている)

さらに、

…….while other nations have focused on community policing, some
 American police have become paramilitary…….

なるほど、他の国が地域に根差した警察となることに力を入れているのに対し
アメリカはまるで軍隊のようになってしまったということですか。

特に、SWAT隊員の人数は、80年代の3,000人あまりから現在では50,000人に
増えている!その結果、殺傷するケースも増加している。

多くの人が武器の所有している結果、殺される警官も多いし、その犯人の
42%は黒人であるということで、警官が黒人に対して厳しい態度に出るのは
ある意味当然ではある。

3億丁も出回っている銃という状況を直ちに変えることはできないが、警官による
過剰な実力行使を減らす対策はあるとしています。
there are other ways to make the police less violent.」)

まずは透明性(transparency)。

全ての警察に射殺件数を報告(連邦政府に)させること。
そして、ボディーカメラを配布すること(ある程度行うようです)。

第二は「accountability」。

つまり、警官による射殺事件を捜査する場合には、同僚や地元で顔見知りの検察官、
陪審員が行っているが、外部の人間で構成される第三者機関に委ねるべきである。

To improve accountability, complaints should be heard by independent 
arbiters, brought in from outside.

つまり、責任を持って外部に説明できるような体制ということですね。
ごもっともですが、これも難しそう。

そして、最後は、
警察の重装備化を反転させる(「reversing the militarisation of the police」)、
つまり、警察が必要なのは、訓練であって武器の配備ではない(「The police need
 more training and less weaponry」)。

結論として、

アメリカは、現在もさまざまな点で他の国のモデルとなっている。
その価値観は、常識のある人々が広めたいと思うようなものだ。
(「Its values are ones which decent people should want to spread.」)

一方で、社会の根幹を支える刑事司法制度は、根深い問題をはらんでいる。
(「Yet its criminal-justice system, the backbone of any society, is deeply 
flawed.」。)

変えることは難しいが、久しく待望されている/すぐに行うべきである。
(「Changing it will be hard; but change is overdue.」)

Change is overdue」というのは、変化はとっくに起きているべきである、
つまり、今起こすべきであるということになりますか。

さてどうかな。
よっぽど何かきっかけがないとね(sigh!)。

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