お寒くなってまいりやした。
という前振りとは関係なく、今回は久しぶりにEconomist 誌の記事を取り上げます。
◆
最新号の巻頭記事は、アメリカの警察に関わる問題です。
「Criminal justice
America’s police on trial
The United States needs to overhaul its law-enforcement system」
ということで、Economist誌にしてはストレートな( 私の偏見かな?)表題です。
最初のパラグラフは、 オハイオ州のスーパーマーケットで売っていたエアライフルを
手に 取っていた男性が警察に銃撃されて死亡、 それでも大陪審では銃撃した警官を
起訴しなかったというエピソー ドが紹介されます。
「Most people have probably never heard this story, for such tragedies are disturbingly common: America’s police shoot dead more than one person
a day (nobody knows the exact number as not all deaths are reported).」
「disturbingly common」
辞書的には「心をかき乱す」とか「気がかり」ですが、ここでは
「嫌になるほどありふれた出来事だから」という訳がよいかなと思います。
へー、アメリカでは平均で毎日1人が警官に射殺されているとは!
それでも、今回報道されているような事件は、 さすがに関心を集め、全米での
デモに発展したようです。
これまでのところは、人種差別(特に黒人) の問題としての非難や論議が高まって
おり、 確かに白人警官が黒人の被疑者(?) を射殺するという構図なのですが、
Economist誌は別の視 点から分析しています。
つまり、
「There is ……. another prism through which to examine these grim stories:
the use of excessive violence by the state.」
プリズムという表現はいいですね。「異なる視点」ということですが、
ここで、アメリカの刑事司法制度について俯瞰的に見ると、
「…….overall the country is an outlier for all the wrong reasons.」
(全体として見ると、 他の先進国に比べて悪い意味で突出した存在である)」
「It jails nearly 1% of its adult population, more than five times the
rich-country average.」
そうなのです。私がアメリカで過ごした80年 代の初め、刑務所に収容されている
のは100万人というデータを 見てびっくりした記憶があります。
日本では8万人ぐらいでした。 判決が厳しいことも一因となっているようです。
その結果、「America’s police are motivated to be rapacious…….」
(傲慢( 自分達こそが平和な日常生活の砦であるという意味で) になっている)
さらに、
「…….while other nations have focused on community policing, some
American police have become paramilitary…….」
なるほど、 他の国が地域に根差した警察となることに力を入れているのに対し 、
増えている!その結果、 殺傷するケースも増加している。
多くの人が武器の所有している結果、殺される警官も多いし、 その犯人の
42%は黒人であるということで、 警官が黒人に対して厳しい態度に出るのは
ある意味当然ではある。
3億丁も出回っている銃という状況を直ちに変えることはできない が、警官による
過剰な実力行使を減らす対策はあるとしています。
( 「there are other ways to make the police less violent.」)
まずは透明性(transparency)。
そして、 ボディーカメラを配布すること(ある程度行うようです)。
第二は「accountability」。
つまり、 警官による射殺事件を捜査する場合には、 同僚や地元で顔見知りの検察官、
陪審員が行っているが、 外部の人間で構成される第三者機関に委ねるべきである。
(To improve accountability, complaints should be heard by independent
arbiters, brought in from outside.)
つまり、 責任を持って外部に説明できるような体制ということですね。
そして、最後は、
警察の重装備化を反転させる(「reversi ng the militarisation of the police」)、
つまり、警察が必要なのは、 訓練であって武器の配備ではない(「The police need
more training and less weaponry」)。
結論として、
アメリカは、 現在もさまざまな点で他の国のモデルとなっている。
(「 Its values are ones which decent people should want to spread.」)
一方で、社会の根幹を支える刑事司法制度は、 根深い問題をはらんでいる。
(「Yet its criminal-justice system, the backbone of any society, is deeply
flawed.」。)
変えることは難しいが、久しく待望されている /すぐに行うべきである。
(「Changing it will be hard; but change is overdue.」)
「Change is overdue」というのは、 変化はとっくに起きているべきである、
つまり、 今起こすべきであるということになりますか。
さてどうかな。
よっぽど何かきっかけがないとね(sigh!)。
0 件のコメント:
コメントを投稿
コメント、お願いします。ブログ内容に関する質問歓迎!