今回は、エコノミスト11/16号からです。
巻頭の記事は、
「The recorded world
Every step you take
As cameras become ubiquitous and able to identify people, more safeguards on privacy
will be needed」
ということで、
あちこちに監視カメラが設置されている環境に対して、 やりすぎなんじゃないのという警告です。
書き出しです。
短い!――記事が2本見つかっ たのでそちらにします。どちらもアメリカです。
◆
最初は
「Criminal justice
American oubliette
Life without parole is an outrageous sentence for non-violent criminals」
という犯罪と刑罰の関係です。
「oubliette」-地下牢ということだそうです。
いわゆる「3ストライク」法(ここでは4ストライクとなっていま すが)というのは聞いたことが
ありますが、 軽い罪でも何回も犯す常習者(recidivist) に対しては、
「mandatory tough sentences」(重い判決を出すことを義務づける)法律がアメリカの一部の
州で運用されており、その結果、 記事冒頭に出てくる例では、コソ泥が
「sentenced to life imprisonment with no chance of parole」
ということで、 仮釈放の無い無期刑に処せられているそうです。
こういう判決を受けている囚人が何人くらいいるのか正確なデータ はないようですが、
ある組織の調査では3,000人を超えている とのこと。
凶悪な殺人犯等は別にしても、エコノミスト誌は
「There is no way to justify oubliettes for shoplifters」
と批判します。
「mandatory- sentencing laws」の対象となっている犯罪者の8割近くは薬物関係ですが 、
大部分は少量を所持していた程度のいわば中毒者です。
こういう不当な重罪に服するのは貧しく、 ちゃんとした弁護士を雇えない人がほとんど。
「applying such draconian, hope-crushing sentences to non-violent offenders …. is
cruel and pointless」(2つなかなか興味深い単語が並んでいます )
ということで、エコノミストの提言は、
「Congress and state legislatures should scrap mandatory sentencing and let judges judge」
例の「electronic ankle tags」という監視装置もコストが安くなっているし、 犯罪人を閉じ込めるの
ではなく、 社会で自力更生させる方向に方針転換すべきだと結んでいます。
◆
次もアメリカで、
「Biking without a helmet
No brainer
Feel the wind in your hair; bill the taxpayer for your injuries」
「no brainer」というのは、思考を要しないーー> 考えるまでもないということです。
3行目は「風に髪をたなびかせ、 その結果怪我した場合は納税者に払わせろ」です。
冒頭でネブラスカ州の病院は、 頭にけがを負ったバイク乗りが運ばれてくると、 州外の人間だと
分かる、なぜなら、 同州ではヘルメットの着用を義務づけているが、周りのアイオワ等 3州では
そうではないから。
それでも、全米で10州以上がヘルメ ットの着用義務を法律で規定している。
一方で、自由論者(lib ertarian)達は、「Let those who ride decide」として法律廃止を主張
しているようです( 反対者は「Let those who pay have a say」と反論)。実際、今年11の州で
義務廃止法案が提出され ています(全て否決されたそうです)。
データ的に言うと、 ヘルメット着用を義務づけた法律を廃止した州(10州以上) では、ヘルメットの
使用が減り、 事故による死亡や頭部負傷が増えているようです。
それでも、
「Helmet-haters claim that increased deaths merely reflect a jump in miles ridden
after laws are repealed ……」
(着用義務が無くなり、 みんな喜んでバイクに乗る距離が増えたからという変な理屈ですが 、
「Helmet-haters」というのは面白いですね。 色々なものに使えそう。
最後に、ネブラスカ州の州議会議員(着用義務廃止に賛成) の言として、
「It is silly to ride a motorcycle without a helmet on the highway. But government
shouldn’t tell people what to do」
これに対して、エコノミストは
「How about taxpayers?」
と結んでいます。
以上、紹介した2件の記事は、 アメリカらしいと言えばアメリカらしいですね。
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