ちょいと久しぶりですが、Economistの5/10号の記事 を取り上げます。
「How better rice could save lives
A second green revolution
Technological breakthroughs in rice will boost harvests and cut poverty.
They deserve support」
コメは飢餓に苦しむ多くの人口を救える可能性を秘めている。
2回目の緑の革命となり得る。
但し、 財政その他の支援が必要である、というタイトルです。
この緑の革命(Green Revolution)とは、1940年代から1960年代にか けて、 高収量
品種の導入や化学肥料の大量投入などにより穀物の生産性が 向上し、穀物の大量
増産を達成したことを指します。
この記事の冒頭では、
飢餓の危機に直面していたインドの政府がノ ーマン・ボーローグ氏(不勉強で知りま
せんでしたが、 アメリカの大学教授、 緑の革命の立役者でノーベル平和賞を受けて
いた) のアドバイスを受けて、最初に小麦、そしてコメの新しい品種( 短い茎
(short-stemmed)で倒れにくい)を導入し、 収量を劇的に増加させ、 飢餓を免れた
という成果を上げたと紹介しています。
新しい品種の急速な普及について
「they caught on like smartphones」
そして、
「Over the next 40 years the green revolution spread round the world,
helping ensure that, where its seeds were planted, famines became things
of the past.」
そして現在、第二の緑の革命の機運がアジアで高まっているそうです。
(「N ow a second green revolution is stirring in the fields of Asia.」)
最初の革命と異なり、今回は新しい品種を導入するわけではなく、 現在ある品種を洪水、
干ばつ、 塩害といった過酷な環境に適応できるように改良する形で実現され るということ
です。そうすることで、 今まで米が育たなかった土地でも収穫が可能になると。
この革命というか、技術革新は重要になっている、というのは、 最初の緑の革命の効果が
もはや得られなくなっているからです(「 This revolution is all the more vital because
the gains of the first are plateauing.」)。
つまり、収量の増加率が低下して、 人口の成長率を下回っている。
米というのは、穀物の中でも一番環境の変化に弱いそうです。
fresh water」(地球上の淡水消費量の1/3とは知らなかった!) )。
米の主要産地はアジアのデルタ地域で、 洪水や塩害の影響を受ける。
それでは、第二の緑の革命とはどんなものか?
現在は、2005年に始まった米の遺伝子解析によって洪水への耐 性に関わる遺伝子が
発見され、 それに基づいて改良品種が開発されて世界中に広まりつつあるとい う状況です。
今、この動きを後押しして第二の革命をもたらすために政府に期待される のは、
農政改革と共に、さらなる研究開発への投資です。
最初の緑の革命を推進したのは政府でした。
トウモロコシと小麦の新しい品種開発には投資をしている) 、コメについては期待できない
そうです。
ベースにならない。 ということで、研究開発も国に頼らざるを得ない。
逆に言えば、必要な研究開発投資も比較的少額で、ある試算では2 5年間で30億ドル程度
の投資を行えば、1億5,000万人を最 悪の飢餓状態から救うことができるそうです。
(「By one calculation, $3 billion of rice research spread over the next 25 years
would pull 150m people out of extreme poverty.」)
ところが、多くの政府は研究開発投資に神経質(nervous) になっている。
(「Some politicians worry about publicly backing genetic research......」)。
まあ、 この記事でははっきり言っていませんが、遺伝子操作/改良に対す る根強い反対や
批判を考慮してということでしょう。
そして、
「Other health ministries have moved on to sexier causes, like fighting obesity.
(肥満対策のようなもっと人目を引くもの。ここでsexyという のは面白い言葉の選択です)」
だそうです。
ということで結論に入ります。
「They should think again. It is hard to think of a way to improve more people’s
lives for less money.」
まあ、Economistとしては、 素直な直球ですね。
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