2013年9月25日水曜日

「英語にハマりませんか?」No.68

さあ、All the President’s Menです。
今回のやり取りはなかなか面白いです。

Bernsteinは、CRPにコメント(というか、恒例の否定(rites of denial)を求めます。

担当者は、

I think your sources are bad.  They provide you with misinformation.

とだけ答えます。それ以上は一切答えようとしません(he could not be budged to 
discuss the specifics)(頑迷に拒否ということですな)。

その後、夜11時頃になって同じ担当者からMitchelのコメント(秘密資金からの拠出に
ついて何も知らないし、管理もしていないと全否定)を伝えてくる。

この回答からBernsteinは「soft spots」を見つけます。

資金の存在については否定していないし、CRPの会計について管理していないという
のはtechnically correct」(建前上は正しい)にすぎない(会計責任者はSloanでした
から)。

(この「technically」はアメリカ人よく使いますね。私も好きです。
一例を挙げると、昔アメリカの友人が来日するので19,000円以下の宿の手配を
頼まれたが、朝飯付き1万円しか見つからないので事情を説明して「technically 
within your budget」と言ったら納得していました。)

ということで、Bernsteinは「It is the cleverest denial yet.」と皮肉を言います。

Bernstein11時半すぎにMitchelを直撃します

記事を読むと、「Jeeeesus!」と「primal scream(原始のおたけび)」を繰り返します。

ここで出てくる罵詈雑言が面白い:

Katie Graham's gonna get her tit caught in a fat wringer if it’s published!...... 
That’s the most sickening thing I ever heard.

この「get her tit caught in a fat wringer」というのは何でしょう?
品が悪いまでは分かりますが。

ネットで調べるとちゃんと出てきました!

まず、Katie Grahamはワシントンポスト紙の当時の社主です(ご主人の死去に伴って
就任)。

一方、「get her tit …….」のフレーズについては、詳しい解説がありますのでちょっと
引用します。

We really got our tit in the wringer this time": We really got into horrible trouble 
this timeA tit is a teat (breast/nipple), and a wringer is the part of what is known 
as a wringer washer (old-fashioned washing machine) ……. When the clothes 
were washed, the operator …. would take a piece of clothing and feed it through 
the wringer, while turning a crank
The wringer (formed of two wooden rollers placed close together) would squeeze 
excess water from the article of clothing.

私の幼い頃に使われていた、手回しで洗濯した衣類を絞り、水分を切るための装置に
なぞらえたフレーズです。なかなか面白いので長く引用しましたが、調子に乗っていると
適当にローラーを回していると)大きなトラブルになるぞという脅しですね。

もっと品無く言えばどうやると「get caught」するのか興味が湧きますが、このへんで
止めときます。

さらに、Mitchelは、

You fellows got a great ballgame going …… we are going to do a story on all 
of you

という捨て台詞を吐きますが、これはよく分からない。

おおごとになるぞ(ホワイトハウスまでからむから)。
そっちにもいろいろ明らかにされると困る話もあるだろ」みたいな感じですかね。
(それともあることないこと言ってやる?これはあまりにも穏やかじゃないですね)

なかなか、エキサイティングな電話インタビューだったわけですが、

Bernstein had perceived the excruciating depth of Mitchel’s hurt」、

そして、

for the first time, Mitchel was flesh and blood, not Nixon’s campaign 
manager …….
(つまり、彼が生身の人間であることを感じたということでしょうね。)

このコメントの扱いについて編集担当に聞くと、自分では判断できないと言う。

Bernstein decided to include M’s comments in the article by insertion.

最終確認としてBradleeで電話すると、Mitchelは酔っていなかったか、記者と
名乗ってインタビューしたかといった確認をした後、「leave everything but 
“her tit”」と指示し、掲載を許可します(ははは!)

翌日朝、Bernsteinに昨日コメントを求めた担当者から電話が来る。

Mitchelの発言引用まで含めて報道内容を知らせると記事の差止を求めてくる。
このやり取りがなかなか面白いです。

Are you sure that you did not catch him at a bad moment?
Bernsteinは分からないと答える)

You caught him at an unguarded moment.  He has been Cabinet member
 …. and he doesn’t want to show up in print like that.
Bernsteinは、Mitchelの言ったことをそのまま掲載するだけであると答える)

If his composure is not guarded, is it fair to him to hold him accountable 
for what he said
(ちょっと分かりにくいですが、「彼が平静な状態で無い時に話したことに対して
責任を問うのはフェアではない」ということでしょう。前の2つの発言では勝手に
Mitchelが冷静な状態で話したとは言えないと決めつけた上での主張です)

これに対して、Bernsteinは、

「...... you fellows hold me accountable for what I write and what I say, so 
it is not unreasonable to expect any less of Mr. Mitchel. He’d dealt with the 
press before.

と反論します。なるほど、衡平論というやつですね。

この担当者は、さらに上の人に話せないかと聞いてくる。編集主幹のBradleeならと
答えると、

I certainly don’t want to make an independent decision to talk to Bradlee
(日本語的に言うと「上の者に確認しないと」というところですか)

Bradleeは、Moore

「...... in the morning, he was not having all his thoughts collected

という弱々しい弁明に対して、

...... it boils down to the question of whether Mr. Mitchel said it or not, and 
whether the report identified himself as a report, and if he did it, my requisites 
have been satisfied

ということで

refused to kill the insert

します。

ということで舌戦が活発になってきました!

2013年9月18日水曜日

「英語にハマりませんか?」No.67

Economist9/5号です。

タイトルと要約のつもりが長くなってしまい、2件の記事しか紹介できません。

3D printing
From dental braces to astronauts’ seats
The signs are that 3D printing is transforming manufacturing, but not in the ways 
you might expect

Economistは、3Dプリンティングについてはだいぶ前から押しています。

The signs are that....」という言い方面白いですね。製造業を変貌させることは明らか
であるが、みんなが期待しているような分野/方向とは限らないということでしょうね。

記事の書き出しからちょい癖玉です。

EVER since 3D printing …… hit public consciousness a couple of years ago, 
comment has veered towards two extremes.

普及を歓迎する意見(Fansと表現されています)-特にアメリカが多い-は、先進工業国に
仕事が戻ってくると考えている。

一方で、確かに経済的な影響は大きいが、昔ながらの工場や中国の製造業を脅かすまで
行かないという意見もある。

但し、これまで聞かれた趣味の領域にしか使われないだろうという見方は当たらなくなって
きている。

The idea that it is a gimmick, suitable only for hobbyists, looks ever less likely.

現在売れている3Dプリンタは、一般消費者向けで市場の5に過ぎない。
一方で、部品の製造も大幅に増加している。その結果、2012年で22億ドルと推計される
市場規模は今年28%増が予想されている。NASAを初め3Dプリンタによって製造された
部品を導入する企業も増えている。

ということで、Economistとしては、

Far from spelling the end for traditional factories, it is being adopted by them 
and incorporated into existing processes to provide the best of both worlds.
(既存の工場にとって脅威ではなく、共存して良い結果を生む方向に進んでいる)

かなりの部品がこのプロセスで作られているようです。

中国の製造業に対する脅威という点では、

What of the idea that 3D printing is bad news for Chinese manufacturers? 
Some manufacturing is indeed being “reshored” to be closer to Western 
consumers. 」(「reshored」というのが、以下にも取り戻すという感じでよいですね)

とは言っても、中国企業も

well-placed to embrace the new technology as anyone

だそうです。

世界最大の3Dプリンタは(全長12m)中国にあるし、中国の宇宙船では宇宙飛行士の
シートは3Dリンタ製だそうです。

ということで、Economistの結論は、

The lesson for firms in all this? 3D printing can make all sorts of manufacturing 
even cheaper and more efficient …..

という、珍しく(失礼!)直球でした。


もうひとつはギャンブルです。

Casinos in Asia
The rise of the low-rollers
Although it has a growing number of rivals, Macau, the world’s casino capital, 
is set for a new boom

マカオは今や世界一のカジノ都市となったようです。

その原動力は、怪しげな人を含む中国の富裕層ですが、タイトルを見る限り、そうでない人も
成長の原動力となっているようです。

冒頭は、

「“THE Las Vegas of the Far East” is how …..  an American gambling magnate ….. 
has long described Macau.  A decade ago, when Sin City was king and the tiny 
Chinese territory was still a backwater, such a claim would have been laughably 
implausible. Today, it is an insult to Macau.

マカオのカジノの総売上高は、2012年に380億ドルに達し、ラスベガスの6倍だそうです!

かなり怪しげな、場末の賭博街というイメージから、

The times are changing, and Macau is starting to clean up its act.

ということだそうです。

特に、カジノの営業許可について規制緩和を行ったことで、アメリカ資本が入ったことが
よかったようです(アメリカのカジノ運営者は海外での運営についても厳しく監視されている)。

ということで、

The opening of glitzy new venues has fuelled explosive growth. Between 2008 
and 2012 Macau’s gambling revenues grew by 29% a year on average. Now, no 
other casino venue comes close.

glitzy」-けばけばしい/ギラギラした、響きから意味が想像できる言葉ですね。

マカオの急成長と共に、世界のギャンブル市場の構成が一変しているようで、2010年に
世界シェア50%以上を誇っていた米国も、2015年にはアジア太平洋地域の後塵を拝する
ことになるという予想。

ということで、なぜマカオが成長したかという分析に入りますが、かなり長いので適当に
飛ばします(Economistはなぜこの話題にこのように入れ込んでいるのか不思議?)

中国政府のギャンブル許容の方針も大きいし、カジノ収入の60程度を占める
High-rollersを惹きつけるための工夫もされている(富裕客の金の出所について
アメリカのようにあまり詮索しないとか

一方で、

シンガポールのようなライバルも出てきているし、日本を含めてアジア地域の色々な国で
カジノの計画があり、マカオの富裕客を横取りすることを狙っている。さらに、中国本土での
汚職や不正蓄財への取締り強化も不利な要素となると思われる。

それでも、

「......there are several reasons to think that Macau’s brightest days may still 
lie ahead.

なんといっても中国本土からのアクセスがよいということで、シャンペンを部屋に置いたりと
あまり気を使う必要のない「Low-rollersordinary punters」を惹きつけるという強みが
ある。

中国政府としては、道路、鉄道、空港などへの投資でマカオへのアクセスをさらに改善
しようとしている(「In a few years gamblers, conventioneers and all sorts of tourist 
will be able to take a taxi or bus from Hong Kong airport straight to Macau.」)

私も一度行きましたが、フェリーは確かにちょっと面倒くさい。

ラスベガスと同じようなエンターテイメント・センターへの開発計画もあるし、(「Mass 
entertainment is the key to the mass market」という理念ですね)、カジノ自体も
巨大化への投資が進んでいる(「Galaxyというカジノチェーンでは、77億ドルを投資して
ペンタゴンよりも巨大な施設に拡張(この比較分かりにくいですけど)。

こうした、マカオ自体の競争力を維持する努力に加えて、中国政府の規制が厳しくない
こともマカオ繁栄の大きな要因です(たとえば、シンガポールはカジノの規模を制限して
いるし、自国民はお客になれない-日本も同じかな?)

ということで、この長い記事もようやく結論です。

If China were to suffer a significant economic slowdown, that would only 
postpone the day that this level of turnover is reached. Macau is in prime 
position to reel in the surging numbers of new consumers from China and 
across the region.......

「英語にハマりませんか?」No.66

All the President’s Menです。

ウォーターゲート事件にも使われた秘密資金を管理していたホワイトハウスの高官は
誰なのか、記者とSloanの禅問答が続きます

疑われるのは3人。

まず、1人目(Colsonについて聞くと、Sloanは、

He was too crafty, too careful to put himself in jeopardy that way.  If that had 
been Colson, he would have done it through someone else, and that had not 
happened. 」(いいですね!仮定法過去の教材です)

crafty」-良さそうな意味に思えますが、悪賢いということですね。

次のErlichmanは選挙にはあまり関わっていないので、Haldemanではないかと
問いかける。

(「Because he was the overseer of CRP and because of his reputation for 
autocratic control of the White House staff - plus he was the President’s 
eyes and ears in the campaign - was a more logical choice」)

しかし、

Sloan would not say yes or no, but he said nothing to steer the reporters 
away from Haldeman, as he did with Colson.
(なるほどね。こういう違いに気づくのが敏腕記者というものですね)

さらに、

「Bernstein threw out a name Woodward had never heard before (Kalmbach 
ニクソン大統領個人の顧問弁護士) ….. It was a guess.

Sloanは驚いた顔をする。

この弁護士は、ホワイトハウスに関わる色々なプロジェクトを仕切っていることで
知られており、

The prospective clients who had business with the government could not 
talk to him for less than $10,000」(高いような、安いような)

最後に

Sloan said he did not want to get into a guessing game.」(この表現使えそう)

いずれにしても、Haldemanについての疑惑が浮上してきた

2人はワシントンポストに戻り、各自のソースに確認を行う。

Woodwardのソースの1人(政府機関内部)から、資金の拠出責任者の最初の3人に
ついて、また、Bookkeeperの証言についても確認を得る。

また、残り2人については名前を上げなかったが、

It was certain that the money had paid for espionage against the Democrats

Haldemanの名前をぶつけてみるが、答えは無い。

BernsteinWoodwardは、Bradlee編集主幹との会議に臨む。
ここでのBradlee(編集主幹)の振る舞いやバックグラウンドがなかなか面白い。

During discussions …… Bradlee frequently picked up an undersized rubber 
basketball and tossed it toward a hoop attached by suction cups to the picture 
window.  The gesture was indicative of both the editor’s short attention span
and a studied informality.

へー、アメリカらしいな。

説明として、この行動には、彼の注意力が長続きしない(気が短い)ことと、計算された
studiedざっくばらんさ(自分は形式にとらわれないことを見せる)、という2つの意味が
あるということです。

そして、

there was an alluring combination of aristocrat and commoner about Bradlee.
貴族的な面と庶民的な面がうまく合わさって独特の魅力を生み出しているということ
でしょうね)

ハーバード、海軍、フランス駐在と華麗な経歴に加えて「police beat report(さつ回りの
記者というやつですね)」の経験もある。

部下の1人によれば、Bradleeは「hard-charging(扱いが難しい)and obstreperous
手に負えない」になる場合がある(公式のパーティーでBradleeがタバコをデミタス
カップに押し付けて消す!)。

それでも、「he was one of the few persons who could pull that kind of thing 
and leave the hostess saying how charming he was.」だそうです。人徳というやつ?

肝心の編集会議では、Bradleeは、記者達の説明(Haldemanについての情報を含む)を
聞き、「Are you certain on Mitchel?」と聞きます。

記者たちは少しためらいながら記事にできると答えます。

Bradleeの編集方針(philosophy)―「A daily newspaper cannot wait for the 
definitive account of events.」(多少のリスクは覚悟でということですな)を理解した
上での答です。

記者達は、
Mitchel is not someone to be trifled with, and they are now playing hardball.
であることを認識し、

they would take a bigger step than either of them had ever taken
であると実感します。

これはなかなかうまい表現です。ついに本格的な勝負の時(hardball)がやってきたこと
(本丸を攻めるということですな)が分かります。

6pmまでに原稿が出来上がり、ちょっとした修正の後、記事として固まります。

Mitchelその他5人が運営する秘密基金、それが民主党についての情報収集活動に
使われてきたこと、色々なソースから得られた情報の一応の集大成で、

ウォーターゲート事件という、ちっぽけな侵入事件がホワイトハウスにつながっていることが
初めて報道されたことになります。

2013年9月12日木曜日

■研修生募集■

【プロの実務翻訳者を志している、あるいは、難解な英文資料と格闘している方々へ】

これまで30年間、さまざまな文章の英日/日英翻訳に取り組んできました。
その経験の中で培ってき技術や上達のノウハウをお伝えしようと研修生を募集することにしました。数名が限度です。

それぞれの方のレベルに合った、1対1、あるいは1対数人を想定した対面講義、演習、課題提出/評価を予定しています。

講義と演習は、笹塚や新宿界隈の喫茶店などで定期的に実施することを想定してますが、相談歓迎。さらに、メールでの課題添削や質疑応答も含まれます。

商業ベースの教室ではなく、私がこれまでに実際の仕事、参考資料、先輩方から学んできた技術を伝えていくことが主な目的ですので、謝礼は1時間~1時間半程度で数千円を想定しております。

まずは一度、ワンコイン体験レッスン(500円で実施)という形で実施し、続けられそうな場合は、教材を含めた詳しい授業内容と方法について相談・合意するという手順で考えています。

受講資格は、特に設けませんが(TOEIC何点とか)、翻訳や英語の読解に真面目かつ楽しく取り組む覚悟のある方だけとさせてください。

現時点では、次のような方にとって一番メリットがあるのではと想定しております。

---------------------------------- 
●実務翻訳を仕事になさりたい方

●英文資料の読解力を身につけたい方
日常的にインターネットを含めて英語のレポートや新聞記事に接し、その内容を理解、要約、和訳する必要があるが、読解のコツが分からないため、時間を要し、その軽減を図りたい方。

●英語でレポートなど作成なさりたい方
たとえばNPO等の団体で英語のレポートを書く必要があるが、なかなか思い通りの文章が出てこない、文章の構成が決まらないといった英文の作成(翻訳を含む)悩んでいる方
---------------------------------- 

ご質問などありましたら、何なりとお寄せください。
なるべく早めにお返事いたします。

お問い合わせ、歓迎です。
お申込みともども、下記までご連絡ください。
皆さんのお役に立てれば何よりです。

>> 12月の土曜日に3回、笹塚にてワンコインの体験レッスンを行います。
詳細は、下記の「こくちーず」というサイトをご覧ください。
http://kokucheese.com/event/index/125554/

※上記のワンコイン体験レッスンは終了しましたが、ご興味ある方は

下記までメールにてご連絡ください。

遠山実(コミュニケーション・リソーシズ代表、実務翻訳家)
tttoyamaminoru@gmail.com