2013年8月30日金曜日

「英語にハマりませんか?」No.62

All the President’s Menです。

Bernsteinは、これまでの取材をもとに、ニクソン再生委員会において「massive 
housecleaningが行われたという記事を書きます。それに関わった幹部の実名を挙げます。

そして、盗聴の証拠や帳簿を含めた「Wholesale destruction of documents」が行われ、
その指揮者がFBIの尋問に回答していることから、明らかな組織的な行為であると結論
付けます。

また、CRPの顧問弁護士や幹部は、一部の職員に対して、FBIによる尋問への答えを指導
していた。単純な「don’t talk」ではなく、「keep the ship together」(今こそ団結しよう
という感じ)といった間接的に組織防衛を示唆する訓示を盛んに使っていたこともスタッフの
証言から明らかに。Damaging informationを握っていた職員はその後昇進している。

ここで、Rosenfeldというメトロ担当エディターが登場します。

extremely good at locating holes in stories written by reporters.
(原稿チェックの鬼ですね)。

以前の部署は外信部だった。ウォーターゲート事件について「hard-sell artist」(強引では
あるが、説得するのがうまい)の役割を担って、Bradleeその他の編集主幹に事件の重大さ
自分たちの価値を売り込んだ。

メトロ部門の地位が低いことに不満があり(「His mission was to raise the local staff 
from the second citizenship at the Post.」(脚光を浴びるチャンスを見たわけです )。

Rosenfeld runs his staff like a football coach. He prods his players, letting them 
know that he has promised the front office results, yelling, pleading, cajoling …..
(アメリカ人はフットボールにたとえるのが好きですね)

prod」-はっぱをかけるということですね。

ナチ以前のドイツで生まれ、10歳で米国に来たので全くなまりの無い(「without trace 
of accent」)英語を話す。但し、メトロ担当の記者については能力を信用していない(natura
distrust)。

He was in the uncomfortable position to have to trust Bernstein and Woodward 
more than he had ever trusted any reporters.
(なんだ2人とも意外と信用ないのか。みんな優秀だろうから)

「.....in the uncomfortable position ….」信頼せざるを得ないという、微妙な立場に
あったということですね。英語では、否定的な形容詞を平叙文に使うのが多いので、さっと
読むと誤解する場合があります(「he has unsuccessfully tried)とか」

但し、

Aware that the story was out of his hands, he tried to exercise what control he 
could…..

要するに、記者の机のまわりをうろつき、電話が終わったら説明を求めるとか、うざい上司
として振る舞ったわけですね。

He was reassured by Bernstein’s conversation with the FBI agent....」
ゴーサインを出します。

それでも、記事の内容はindictmentを上回るものであり、「The Post is making its own 
charges against the campaign officials but also concerning the thoroughness 
of FBI and grand jury investigations……
再生委員会の幹部達に対して独自の批判を行っているだけでなく、FBI等の捜査が不完全で
あると言っていることにもなります。)

Bernstein asked CRP for its ritual comment」ですが、否定されるのは当然と思われる
ので、予定稿の中に「Insert Denial」と入れるのが笑えますね。

再生委員会の2人の幹部については、「models of probity in their efforts to reelect 
the president」(大統領再選に誠実に取り組んでいる模範的な存在)と評します。

Bernsteinは、そのうちの1人については「healthy fear」(根拠のある恐れ)を抱いています。

なぜなら、この男は、Bernsteinがラジカル、左翼、その他のcrooksをカバーしていた時に
Head of International Security Division of Department of Justiceだったから。
この経歴では悪いことをしないと考えるのは普通ですから。

しばらくして、CRPの広報から、「The sources of the Washington Post are a fountain of misinformation. It is the whole statement」(以上!終わり!)というコメントあり。

WoodwardBernsteinとしては、ポストの記事は、事件の起訴内容と大幅な違いがあるので
considerable attention」を受けるものと期待したが、翌日の他のメディアは否定的。

LA Timesは「it is the biggest lot of crap I have ever heard」という関係者のコメントを
引用するし、housecleaning action自体の存在を否定する記事も出る。

Attorney Generalは、テレビのインタビューで、書類廃棄などの行為については承知して
いないし、そうする理由が見当たらないとコメント。

おやおや、ちょっと予想外の反応ということで4章が終わります。

2013年8月26日月曜日

「英語にハマりませんか?」No.61

今週からちょっとラインアップを変更します。

このブログも60を超えましたが、最近はどうも本や記事のあらすじばかりを追っていて、
著作権上の配慮からも、また、色々なソースから英語学習や実用の参考になる情報や
フレーズ/語をできるだけ紹介するという目的から見て、あまり好ましいとは言えないと
感じています。

ということで、

All the President’s Menの「読書感想」は続けますが、Economistについては、各号
(週刊―私はデジタル版を定期購読しています)の面白そうな見出しとサブタイトル部分を
いくつか紹介し、そのうちの1本について概要を紹介することにします。

また、Podcast等の音源でのニュースやトーク番組からの紹介もお休みしていますので、
来週あたりから復活しようと思っています。

ということで、

今回はEconomist8/17/13号から興味を引いたタイトル/サブタイトルを紹介します。


1.「Egypt’s bloodbath
The battle for Egypt
The generals’ killing spree is a reckless denial of the lessons from the Arab 
spring

今話題のエジプトです。「bloodbathはよく出てくる表現ですね。
spree」は、spending spreeとか熱狂状態を表現するのによく使われています。
reckless denial」真っ向から否定するものであるという見方ですね。


2.「India and Pakistan
Hold the line
Don’t let extremists or nationalists scupper Indo-Pakistani peace talks

このタイトルは「scupperという単語が目を引いたので選びました。
Hold the line」(何とか関係を維持しましょう)
最初の意味は「皆殺しにする」という物騒なものですが、船を沈めたり、計画をだめに
したりというネガティブな意味ですね。
Don’t let ….」というはよく見かける表現です。


3.「America’s overcrowded prisons
One nation, behind bars
Eric Holder’s ideas for locking up fewer Americans are welcome, but do not go 
far enough

これは、よく読んでみないと分かりません。米国の刑務所人口が200万人以上と非常に
多く、定員をオーバーしている過密な状態にあるというのは聞いていますが。
Eric Holderとは誰か、これはもうちょっと読んでみたいですね。


4.「Economic growth
rickety rebound
The global economy is gaining momentum.  But only in America is the acceleration 
likely to last

これは、まあ何となく内容が想像の付く記事ですね。「rickety」というのは、ぐらぐら、よろよろ
という意味なので、頼りない(弱々しい)回復で、アメリカ経済が頼りということですね。


5.「Law firms’ signing bonuses
Supreme desire
The curiously strong market for Supreme Court clerks

サイニング・ボーナスというのは、スポーツ選手の契約でもよく聞きますが、アメリカの最高裁
の事務官は、引く手あまたなようです。事務官といっても、判事の手足となって調査を行い、
意見を具申するといった、かなり重要な仕事を担当するので優秀でないとなれないようです。
ちょっと読んでみたくなる記事です。


6.「Retail
Hard knocks(苦境)
Department stores have been losing customers to other retailers for decades.  
Some are thriving.

アメリカのデパートについての記事ですが、日本のデパートも厳しい現状にあるので興味が
惹かれました。「Some are thriving」ということは何をやっているのか?

ということで、

今回は、デパートの記事をざっと振り返ります。

日本の新学期にあたるショッピングの季節として、アメリカでは「back-to-school period」が
あります。記事では、「It is a time for outfitting tots with superhero rucksacks and 
fashion-conscious teens with “metallic” Oxford shoes」とおどけております。

それでも、デパート業界の景気は悪く、その中で買収も進んでいますし、さまざまな巻き返しの
努力も行われていますが、おおむね成功していない。

そもそも、デパートの凋落傾向(humbling)は60年代に始まったようです。色々な専門店が
出てきて、ショッピングモール、そして、「category killers」に市場を侵食されてきたわけです。

この次のパラグラフの始まりが面白い書き方です。

It would be tempting to write off department stores altogether if some were not 
doing surprisingly well.

(日本語的に言うと「デパート業界はもう終わりだと言いたくなるけど、中には成功を収めて
いるところがある」ですね。Macy’sとかね。)

成功の要因としては、デパートはカードを発行し、顧客についてのデータを前から集めてきて
いるから、それがスマホに切り替わり、在庫管理にも生かされている(「department stores 
have a fighting chance(なるほど)」)。

特に、Macy’sの巧みなのは、百貨店自体を配送センター/庫として利用していること。

たとえば、

An unwanted coat in Boston can be shipped to a shivering shopper in Boise …… 
If you can prevent a markdown, that covers a lot of shipping costs and satisfies 
the customer.

ということだそうです。

shivering shopper」―寒さに震えるお客ですか、ちなみみBoiseというのはアイダホ州の
州都だそうです。
markdown」-値引き

専門家によると「such wizardry makes the next ten years incredibly promising for 
some department stores」だそうです。

それでも、J.C. Penyといった有名デパートは赤字から抜け出せていないというのも現実の
ようです。

ということで、

Economistお得意の最後の一言は、「Department stores have some hard schooling 
ahead of them」(まあまあかな)

wizardry」―辞書では魔法/妙義ですが、このコンテクストだと「秘策/工夫」でしょうね。

2013年8月20日火曜日

「英語にハマりませんか?」No.60

All the President’s Menです。

ニクソン再生委員会の財務担当者に秘密資金について確認する地味な取材が続きます。

ディープスロートによれば、秘密資金はウォーターゲート事件に使われた(違法の目的の
ための金だった)ということであるが、もう1人のソース「Bookkeeperの情報ではそこまでは
確認できない。

そこで、ポストの記事では秘密資金は民主党に対する「intelligence gathering activity」
ために使われたとぼかす。

これ以後、暗黙の了解ができて、2人以上のソースから同じ確認が得られない限りは書かない
ことになる。

次の朝はどの新聞も秘密資金については報道せず。上院内総務(共和党)は、

The Watergate case was not of concern to the average voter but of interest to 
just Senator McGovern and the media.

というコメントを出す(日本でも聞きそうです)。

BernsteinSloanの家を訪問する。

本人外出中だが、妻が家に入れてくれる。彼らはつらい立場にある。

His name was showing up in the papers every day in a way usually associated 
with mobsters.  Bernstein shared these thoughts with her, trying to dissociate 
himself from the hordes. 」(他のマスコミとは違う)

妻によれば「he had been let down by people he believed in, people whose 
principles and values they had both thought were the same as their own.

let down」-裏切られてがっかりする。
  
Sloanが帰ってきたので、再生員会のtreasurerとして知っているすべてを話すべきでは
ないかと言うが、弁護士に止められている。そして、Prosecutorにもpublic statement
出さないように言われていて「double bound」である。

再生委員会の他の職員についても、同じ弁護士が付いて「keep the ship together」とか、
あいまいな形で黙っているように指導している。

Sloanはかなり話してくれる。Mitchel等の幹部は事件を前から知っていたと思う。
但し、それはお金の動きから言えることで、直接の証拠ではない。
「second-hand information」で「hard evidence」ではない。

さらに、幹部は、文書を廃棄事件発覚からすぐ後に廃棄したとのこと(「There had been a 
housecleaning after the bugging.」)。

Sloanとしては、捜査当局に何か圧力がかかっているのではと感じている。メディアについても
真面目に報道していると思うが、情報源であるWHなどの誘導により、間違った避難や批判を
行っている。

彼も、妻も、理想を抱いて他の多くの若者と共にDCにやってきたが、

Many adapt themselves.(環境に順応してしまう。) People in the White House 
believed that they were entitled to do things differently, to suspend the rules, 
because they were fulfilling a mission, that was the only important thing.
(まー、ホワイトハウスという最高権力機関にいると感覚麻痺するということでしょうね。)

Sloanが秘密資金の存在を知ったのは事件後。

大会などの警備関係費用に使われていたと説明があったが、それには別の予算が組まれて
おり、そこからは出費されず、事件の前後、多額が支出されている。どうもそこから
ウォーターゲート事件に関する費用がねん出されたようだ。

財務責任者として大きな疑問を感じたBernsteinは、状況を打開するために「go on the 
record」をすすめるが、Sloanはまだ消極的。「taped interview」も提案する。弁護士立会も
OK原稿については修正できるともちかける。

Bernsteinは、Sloanと少し雑談して帰る。

Sloanは確実な、明確なことは話していないが、

What Sloan had said was ambiguous and unclear, but it suggested a broader 
conspiracy than he was willing to talk at that point.」(単なる侵入事件よりも大きな
活動が行われているという感じがしたということですね)

一方で

Sloan wondered whether newspapers weren’t a little hypocritical, demanding 
one standard for others and another for themselves.  He wondered whether 
reporters had any idea of the anguish they could inflict with only one sentence.
マスコミのたった一言が人を傷つけるリスク)

事務所に戻ってから、ウォーターゲート担当のFBIエージェントknows slightly)に電話する。
歓迎はしてくれない。ポストの情報はどこから漏れているのか、上層部もナーバスになっている。

可能性として302 報告書(interview report filed by agents immediately talking to 
witnesses)か、そのコピーが漏えいしたのではないかと疑われている。

Now you come in through the switchboard, give your name to the girl, and 
ask for me.  Thanks a lot」秘密の情報源ではなくなったという皮肉ですな。

Bernsteinは、実名を挙げて、関係書類が廃棄されているという予定原稿を読み上げる。

エージェントは、302が漏れたに違いないと怒る。違法であるから、subpeonaを提示して
取り返しを要求すると脅す。つまり、問わず語りにポストの情報を確認したことになる
odd confirmation)。

しかしながら、302に書かれる情報は「raw information」であり、「fourth-hand 
information, gripes(不平/文句), personal suspicions」が含まれており、それに基づいて
記事が書けるような確実な情報ではない。

その後、Woodwardと話すが、上司ともども、「Bernstein always is one step ahead 
of the facts」と言われる。もうちょい待てということか。

You got to make sure none of this gets into the paper unless it is fully supported, 
he implored.」

(懇願するというのは面白い表現ですね。指示じゃないのだ。ホットな事件をいい感じで
追いかけている記者だから、むげには言えない、慎重に頼むよねという口調ですな。)

2013年8月16日金曜日

「英語にハマりませんか?」No.59

さて、Washington Post July 9/2013のアメリカにおけるインターン制度改革(その2です。

新しいインターン制度について賛否両論を紹介したところで、この記事では、インターン制度の
もうひとつの側面を指摘しています。

次のサブタイトル「Cheap labor」でなんとなく想像ができます。

米国のインターン(年俸35,000-50,000ドル ー 思ったよりも悪くはない)は、これまで勤務する
病院で医療以外の文書作成といった業務もこなし、コスト削減に貢献してきた。

ある試算では、インターンの勤務時間を16時間に制限すると年間のコストが急速に増加し、
現在の病院ではまかないきれないそうです。

こうした議論はあるにしても、さまざまな現場で新しい制度のメリットを生かすべく努力も
始められています。(「But some places have embraced the change..............」)

そして、制度の変更にうまく対応している病院も見られます。
(「Our interns saw more patients, produced more detailed notes and attended 
more conferences」というコメントも紹介されます。)

あるインターンの感想では、「患者の医療について継続性が感じられるし、教育機会も
充実している」

ACGMEの理事長によれば、16時間の制度が批判を浴びているが、病院が抱えている問題の
原因は複雑化する医療システムにおける作業負担の増加やコミュニケーションのむずかしさに
あり(「increased work compression and communication failures in an increasingly 
complex and fragmented health-care system」)、インターンの勤務時間をもとのように
増やしても解決はしない。

ここでインターンの歴史について振り返ります。

サブタイトルは「Reducing burnout」となっています。

レジデントという制度は、1890年代にホプキンス病院のOsler氏によって導入されてから
2011年までほとんど変更されてこなかった。24時間のシフトはトレーニングの一番重要な要素
あり、インターンシップで特に強調されていた。

この状況に変化をもたらしたのは、1984年に大きく報道されたマンハッタンの病院での18歳の
少年の死亡である、彼を担当していたのは、36時間のシフトで勤務し、40人以上の患者を担当
して疲れ切っていたインターンだった。

1989年、ニューヨークは、全てのレジデントの勤務時間を1フト24時間、週80時間に制限する
規則を制定したが、いたるところで批判を受けた(widely flouted)。マサチューセッツを含めた
他の州でも同じ動きがあったが、医療関係者の反対で実現していなかった。

一方、外科を含めた専門分野では時間の制限が無かった。60時間のシフトは当たり前で、
インターンは手術台の上で寝ることもあった。

医学界では過酷な労働をむしろ、技術進歩のために通るべき関門と捉えて受け入れてきた。

他の分野――航空、原子力、宇宙を含む――における調査では、疲労は判断力、注意力を含む
全ての面の業務遂行能力を低下させることが認められている。

ところが、勤務時間の短縮に反対する医学界では、医師は他の職業と異なり、疲労を克服する
力を持っていると主張し(「opponents of shortened hours argued that doctors were 
different from other humans in their ability to transcend fatigue」)疲労が医療上の
エラーに結びついた例を示す調査結果は存在しないとしている。

その後、勤務時間についてのルールに繰り返し違反していると理由で一部の病院の認定
accreditation)を取り消したりと、反対派との間で押し引きが続く中で、睡眠不足の医師が
引き起こす危険について社会の理解も広がってきた(「awareness of the dangers of 
sleep-deprived doctors has permeated the public consciousness」)。

ということで、この記事の結論として、

色々困難は伴ったが、新しいインターン制度は成功は納めていると評価しています。

制度の見直しに基づく新規雇用は発生せず、各局間の協力体制を改善し、レジデントの
勤務方式についても変更(reengineering)することで対処した。一方で、レジデントが以前
履修していた3か月の選択教育プログラムを廃止するというデメリットもあったが。

そして、記事の締めくくりは、インターンの証言です(これはよくあるパターンかな)。

あるインターンは、自分のインターン経験が医学生の時に聞いていた「悲惨な(awful)」な
ものではなかったのは嬉しい驚き(pleasantly surprised)と語っている。彼女の勤務時間は、
朝の7半から夜11時であり、まずまず普通の生活ができる(manageable)スケジュールと
なっている。

別のインターンは、レジデントという期間が人生で最も悲惨な体験であり、人間以下の扱い
like crap)を受け、頭がおかしくなりそうになるという恐ろしい話ばかり聞かされてきたが、
そうではなかった。

そして、我を忘れることで他人の面倒をきちんと見ることができるという考えにはくみしないと
話しています(「I personally don’t believe you can take very good care of people 
if you’re not taking care of yourself.」)。

これがまあ、妥当な意見でしょうね。