Washington Post July 9/2013の記事です。
「Medical interns may be more awake, but are they getting enough training?」
かなり長い記事ですが、できるだけ短くまとめることに挑戦し、 また、 新聞記事で議論の展開が
どのように行われているかも分析してみた いと思います。
そうは言っても、 参考になる英語の表現も多いので、2回に分けてご紹介したいと思 います。
ER等でおなじみのように、 アメリカのインターンというのは文字通り寝る間も与えられず、
出ていると想像されます。
この記事は、 最近導入されたインターンの連続勤務時間を制限して負担を軽減す るという
制度についての賛否両論を論じています。
記事は、インターンが長時間労働の結果、いかに危険な状況( 患者にとって) に陥ることが
あるかというエピソードから始まります。 これはよくある始まりですね。
「Flavio Casoy vividly remembers one of his scariest moments as an intern: On duty
at a San Francisco hospital for nearly 29 hours ……」
ということで、 自分の担当していた患者の様態が急変するという展開です。
彼としては、
「I knew something was wrong, but I couldn’t make myself think」
それぐらい疲れていたということです。 幸い同僚が来てことなきを得ます。
ところが、最近のインターンはもはやこの「punishing shifts」に耐える必要は無くなったと
いうのです。
2011 年7月、20年以上にわたる激論(two decades of impassioned debate―なかなか
かっこいい表現です)の末、ACGME( 高度医療教育評価委員会?)は、「least experienced
doctors」(まあ、インターンのことですね) に認められる最長勤務時間を30時間から16時間に
短縮したので す。
16時間を過ぎると仕事の遂行能力が落ち始めるということが 調査で明らかになっているの
ですが、 それでも航空機のパイロットに認められた連続搭乗時間の約2倍と いうことです。
(「That’s the point at which studies have found performance begins to deteriorate,
and roughly double the consecutive hours of flying time allowed pilots.」)
なお、インターン期間を終えた医師はシフトあたり28時間連続で 勤務することが認められて
いる。疲労に対処する能力が備わる(「 they learn to effectively manage fatigue」)という
考え方に基づいている。
ということで、7月1日から新しい制度がスタートしたのですが、 現場を調査したところ、 マイナス
の影響が出ているという疑問が出てきたわけです。
ということで、サブタイトル「Unintended consequences」(思ってもみなかった結果)は、
調査の主な結論としては、シフトの勤務時間が短くなることで、 インターンとしては少ない
時間により多くの業務をこなすことにな り、また、 患者を診察治療する時間も減るので教育の
密度が低下しているとい うことです。
(「.....shorter shifts have resulted in greater work compression, forcing interns
to cram more work into fewer hours and depriving them of valuable education by
limiting the time they can spend treating patients……」)
新しい勤務制度の下で働くインターンと旧制度でのインターンを比 較すると、前者では睡眠
時間が増えたが、 教育プログラムへの参加が減っている(制限時間を守るため) そうです。
また、ミシガン大学の調査では、2,000人以上のインターンを 制度変更の前後で調べたところ、
重大な誤りを犯した(「comm itted a serious error」)率は20%から23% に増加している
ということです。
但し、上記の結論は自己申告に依存しており、 客観的なデータに基づいていないという指摘も
あります。
そして、 仕事の密度が高くなっているのは、 多くの病院の幹部が新制度についてインターンを
甘やかすと考えて いて(「....influential senior faculty at many hospitals regard the
new rules as “coddling” …..」(日本でも出てきそうな議論ですな)、その導入に際して
また、多くの病院には、今回の制度変更を基本的に認めない「 文化」が存在するという指摘も
あります。
(「There are many centers that culturally, fundamentally, don’t believe in this
change…..」)
一方で、16時間への削減を決める根拠となった2004年の調査 では、ブリガムその他の
病院で24時間シフトの勤務に従事してい たインターンは、16時間勤務の時と比べると重大な
ミスが36% も多かったという結果が出ています。
他方、43歳の医師は、「 私の世代ではトレーニングを受けることに多大な情熱を注いでおり
trained.......」、週120時間勤務は普通だった 」と述懐しています(日本でもありそうな感想)。
ということで、前半はこれまで!
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