さて、Washington Post July 9/2013のアメリカにおけるインターン制度改革(その2) です。
新しいインターン制度について賛否両論を紹介したところで、 この記事では、 インターン制度の
もうひとつの側面を指摘しています。
次のサブタイトル「Cheap labor」でなんとなく想像ができます。
米国のインターン(年俸35,000-50,000ドル ー 思った よりも悪くはない)は、 これまで勤務する
病院で医療以外の文書作成といった業務もこなし 、コスト削減に貢献してきた。
ある試算では、インターンの勤務時間を16時間に制限すると年間のコストが急速 に増加し、
現在の病院ではまかないきれないそうです。
こうした議論はあるにしても、 さまざまな現場で新しい制度のメリットを生かすべく努力も
始めら れています。(「But some places have embraced the change..............」)
そして、制度の変更にうまく対応している病院も見られます。
(「 Our interns saw more patients, produced more detailed notes and attended
more conferences」というコメントも紹介されます。)
あるインターンの感想では、「 患者の医療について継続性が感じられるし、 教育機会も
充実している」
ACGMEの理事長によれば、16時間の制度が批判を浴びている が、 病院が抱えている問題の
原因は複雑化する医療システムにおける作 業負担の増加やコミュニケーションのむずかしさに
あり(「incr eased work compression and communication failures in an increasingly
complex and fragmented health-care system」)、 インターンの勤務時間をもとのように
増やしても解決はしない。
ここでインターンの歴史について振り返ります。
サブタイトルは「Reducing burnout」となっています。
レジデントという制度は、1890年代にホプキンス病院のOsl er氏によって導入されてから
2011年までほとんど変更されて こなかった。24時間のシフトはトレーニングの一番重要な要素
で あり、インターンシップで特に強調されていた。
少年の死亡である、 彼を担当していたのは、36時間のシフトで勤務し、40人以上の 患者を担当
して疲れ切っていたインターンだった。
1989年、ニューヨークは、全てのレジデントの勤務時間を1シ フト24時間、週80時間に制限する
規則を制定したが、 いたるところで批判を受けた(widely flouted)。 マサチューセッツを含めた
他の州でも同じ動きがあったが、 医療関係者の反対で実現していなかった。
一方、外科を含めた専門分野では時間の制限が無かった。60時間 のシフトは当たり前で、
医学界では過酷な労働をむしろ、 技術進歩のために通るべき関門と捉えて受け入れてきた。
他の分野――航空、原子力、宇宙を含む――における調査では、 疲労は判断力、 注意力を含む
全ての面の業務遂行能力を低下させることが認められ ている。
ところが、勤務時間の短縮に反対する医学界では、 医師は他の職業と異なり、 疲労を克服する
力を持っていると主張し(「opponents of shortened hours argued that doctors were
different from other humans in their ability to transcend fatigue」)、 疲労が医療上の
エラーに結びついた例を示す調査結果は存在しない としている。
その後、 勤務時間についてのルールに繰り返し違反していると理由で一部の 病院の認定
(accreditation)を取り消したりと、 反対派との間で押し引きが続く中で、 睡眠不足の医師が
引き起こす危険について社会の理解も広がってき た(「awareness of the dangers of
sleep-deprived doctors has permeated the public consciousness」)。
ということで、この記事の結論として、
色々困難は伴ったが、 新しいインターン制度は成功は納めていると評価しています。
勤務方式についても変更(reengineerin g)することで対処した。一方で、レジデントが以前
履修していた 3か月の選択教育プログラムを廃止するというデメリットもあった が。
そして、記事の締めくくりは、インターンの証言です( これはよくあるパターンかな)。
あるインターンは、 自分のインターン経験が医学生の時に聞いていた「悲惨な(awf ul)」な
ものではなかったのは嬉しい驚き(pleasantl y surprised)と語っている。彼女の勤務時間は、
朝の7時 半から夜11時であり、まずまず普通の生活ができる(manag eable)スケジュールと
なっている。
別のインターンは、 レジデントという期間が人生で最も悲惨な体験であり、 人間以下の扱い
(like crap)を受け、 頭がおかしくなりそうになるという恐ろしい話ばかり聞かされてき たが、
そうではなかった。
そして、 我を忘れることで他人の面倒をきちんと見ることができるという考 えにはくみしないと
話しています(「I personally don’t believe you can take very good care of people
if you’re not taking care of yourself.」)。
これがまあ、妥当な意見でしょうね。
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