Economist (July 6th 2013)の小ネタです。
フランスについての記事ですが、Economistはどうもフラ ンスについては皮肉っぽい口調が
目立つような気がします。
タイトルは
「French restaurants
No place like home
Restaurateurs may be forced to draw up new, more honest menus」
という、何かのんびりした口調で始まります。
ところが、書き出しは皮肉たっぷりです。 フランスで政治家に今求められているのは経済の
不調という大きな 課題への対策であるはずなのに、 最近議会で最も熱く議論されているのは
レストランの問題だそうで す。
具体的には、
「how to force restaurants to reveal whether they make their boeuf bourguignon
on the premises or rip open packets and warm up the contents.」
ということだそうです。
「rip open」-「えいや」とパックを空けて、 鍋に入れる光景が浮かびます。
6月27日、フランスの下院で、レストランに対して
「label the dishes they prepare from fresh ingredients in their own kitchens as
“fait maison”, or “home-made”」
を義務づける、 消費者の権利に関する法律の改正案が採択されました。 政府案では表示
するかどうかの選択権を認めていたのですが、 それよりは厳しく、一方で
「less stringent than the obligatory description of every dish on every menu as either
home-made or based on industrial products, which some want.」
これやられたら大変ですよね。
この法案が成立すると、2014年以降は、
「the menus of every establishment, ……. could be sporting truth-in-eating symbols
instead of appetising but misleading tags such as façon grandmère—“just as grandma
used to make it”.」
「sporting」- 目立つように表示するという意味合いのようです。
( アメリカ人は、「Hi, sporty!」(カッコいいね) とか呼びかけるのが好きですけどね)
「truth-in-eating」-「Truth-in- Lending Act(公正貸付法― 消費者信用の業者に対して
実際に支払うべき金利を表示することを 義務付けている)」をもじったようです。
料理大国という評判があるにも関わらず、 一説によるとフランスの全レストランの1/3は
セントラルキッチ ンや別の場所で予め調理した料理を出しているとのこと。
「Improbably long menus at small eateries are one giveaway」
その兆候のひとつとして、 小さいレストランなのにあり得ないほど多くの料理がメニューに
表 示されていることとしています。
食材のコストや従業員の賃金の上昇によって、 多くのレストランにとって全て内部で準備・
調理する(cooki ng from scratch) ことは難しくなっているという事情があるようです。
サンドイッチですませるようです。 ランチの移動販売車も増えているし(どこも同じですね)
おととしパリに行った時に気づいたのは、 ピザやケバブといったファーストフードが増えて
いたことです( この記事によるとレストラン産業の売り上げの54% を占めているそうです)。
この傾向は、 それまでフランスの食文化を守る傾向の強かった南部でも同じだそ うです。
これまでフランスではほとんどのレストランも、政治家も、 正直な表記の重要性については
軽く考えていた。 何と言っても業界ロビーが強力なので。最近になって、 肉の不正表示
(馬肉事件ですな) などがあってにわかに関心が高まってきたようです。
「......customers have the right to know whether what they are paying to eat in a
restaurant is any different from what they warm up at home.」
ということで、 今回の法律がどれだけ厳しく運用され、 表示義務がきちんと守られるかどうか
が注目されるところです。( それほどでもないか?)
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