2013年7月17日水曜日

「英語にハマりませんか?」No.48

Foreign Affairsの新しい論文に入ります。 

p.28
“The Impact of Globalization on Income and Employment”
The Downside of Integrating Markets
 
このタイトルから見て、市場のグローバル化のデメリットについて論じていくのだなと推察
できます。
最初の文章は、

Globalization is the process by which markets integrate worldwide.

という、定義を兼ねた、穏やかな書き出しで始まります。

技術や経営の進歩によってコストの削減と関税やその他の貿易障壁が低減したという展開で、
それによる多大な影響が生まれた(「The impact has been stunning」)、特に、開発途上国では
高成長が続いている。

ということで次のような文章が出てきます。

Although this was unclear at the outset, the world now finds itself just past the
midpoint in a century-long process in which income levels in developing countries
have been converging toward those in developed countries
 
さっと読むと、開発途上国における所得が先進諸国に追いついてきたということですが、
そのプロセスが「century-long」であり、今のところはその中間地点まで来ているという
書き方です。

まり、正確に100年ではないが、かなり長い間進んできたプロセスで真ん中辺まで来たと
いうことは、まだまだ追いつく余地があると解釈できます。

converge(収斂する)」という動詞の選択は面白いですね。通常は「catch up with」とか
ですよね。

それから、新興国の経済はグローバル経済と先進国経済の両方への影響力を急速に
強めていると続きます。ということで、まあ静かな始まりですね。
 
次のパラグラフの最初の文章で面白い表現が出てきます。

Until about a decade ago, the effects of globalization on the distribution of wealth
and jobs were largely benign.

この「benign」(温和/優しい)という言葉が興味深いです。私は「moderateを使うでしょうね。
ほんの10年前までは、グローバル化が富や雇用の分配に与える影響は穏やか/緩やか
だったということですね。

つまり、先進国の経済は年平均2.5%ぐらいのペースで成長し、
the breadth and variety of employment opportunities at various levels of education
seemed to be increasing」だったと。

教育のレベルに関わらず、雇用機会は増加していた。(産業もそうだし、職種もということを
breadth and variety」で表現していると思われます)

教育レベルが突然登場しますが、後で重要な論点となってきます。

ここで
With external help, even the countries ravaged by World War II recovered

という挿入句が出てきますので、「10年前までは」という表現は戦後の時代という比較的
長いスパンを指していますね

そして、新興市場がグローバル経済とつながることで輸入品が安くなり、途上国と先進国
両方の消費者にメリットをもたらしたという、まあ振り返りの議論がまだ続きます。
 
そして、次のパラグラフから、insightfulな分析に入っていきます。なかなか面白い、参考に
なる単語やフレーズが豊富です。

これまで述べてきた成長やメリットの一方で、途上国の成長に従ってその経済に構造的な
変化が起きたという議論です。

「.......their economic structures changed in response to the forces of comparative
advantage; they moved up the value-added chain. Now, the developing countries
increasingly produce….. high-value-added components that 30 years ago were
the exclusive purview of advanced economies. This climb is a permanent, irreversible
change. With China and India ….. resolutely moving up this ladder, structural economic
changes in emerging countries will only have more impact on the rest of the world
in the future.

途上国の経済構造が比較優位(労賃の安さなど)という法則が働いたことで変化した。

つまり、付加価値を高める方向に動いた(付加価値チェーンを上っていくという表現)という
指摘です。日本語的に言うと、付加価値の高い製品/サービスに移行する、かな

個人的には「....increasingly produce…」というのは好きでよく使います。

the exclusive purview(範囲/視界/視野) of」は、「domain」とか、「specialtyというのもあり
だと思います。独壇場だったということですね。

さらに工夫が見られるのがこの後です。

付加価値を高める方向に行くことを「climbという単語で置き換え、それが元に戻ることが
ない変化だと言っています。

インドと中国が「resolutely(着実に/堅固に)」「階段を上がっている」ことで、新興国における
構造的な変化が他の世界に与える影響は大きくなることはあっても、小さくなることはないと
いうことを「only have more impact」と表現しているのが面白いです。

そして、次のパラグラフでは、国際的なサプライチェーンの移動を引き起こすことで
グローバリゼーションは価格、職業形態、賃金に影響を与えているとして、

It is changing the structure of individual economies in ways that affect different
groups within those countries differently.

と述べています。

ちょっと複雑な文章なのですが、グローバリゼーションが及ぼす影響の結果、個々の国も
構造的な変化を生じている。もっと言えば、各国内の異なる階層やその他のグループに
異なる形で影響を与えている。なるほど、「in ways」というのは覚えておきたいですね。

ということで、この分析はなかなか骨です。今回はこの辺で。

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