2013年7月22日月曜日

「英語にハマりませんか?」No.50

記念すべき(かな?)50号は、Economist 7//20号からの小ネタです。

Economistらしい、ちょい皮肉の利いた、それでいて世界政治の一端を示す記事かなという
ことで取り上げます。
 
タイトルはどう考えてもダジャレ。
 
Presents for presidents
Hogtied with a ribbon
The etiquette of giving gifts to sovereign countries requires updating
 
hogtie」-縛る(拘束する)ということですが、プレゼントのリボンを結ぶことと、プレゼントの
種類についてのしばり(制約)をかけていると思われます。
 
WHEN Barack Obama went to Africa this month he presented his hosts with cheques
worth $7 billion for power-generation equipment. He didn’t expect much in return.
 
「オバマ大統領が今月アフリカを訪問した際は、小切手(資金援助の約束)を土産に持って
いったのだが、そのお返しはあまり期待しなかったと思われる」というさりげない書き出しです。
 
「それでも、多くのプレゼント(trinket―小物/安物とは皮肉たっぷり)を持ち帰ったことは
疑いが無い」と続きます。
 
オバマ大統領が就任からこれまで外国の首脳から受け取ったプレゼント(「gifts foreign
dignitaries have lavished on him since arriving in the White House」-気前よく贈られた)は、
花瓶(中国)、チェスセット(ドイツ)など枚挙にいとまがないようです。そして、アメリカの大統領は、
どんなに見栄えが悪くても、失礼の無いように国を代表してプレゼントを(ありがたく)受け取る
という展開となります。
 
最後の2つの文章がちょい分かりにくい。
 
American presidents accept such offerings on behalf of the nation, no matter how
horrible they look on the mantelpiece, because not to do so would cause embarrassment.
But, like other rulers, they seldom seem thrilled. How much better for everyone involved
if a few simple rules were observed.」 
 
seldom seem thrilled」-感動をおぼえることはめったにない。その前の文章を別の言い方で
補強したという感じですね。
 
「簡単なルール(以下に挙げる)を守れば、関係者全員が(無駄な気遣いから解放されて)
楽になると思うよ」という、いわばEconomistからの提言がこの最後の文章に続きます。
 
First, perishable goods do not make successful gifts. Populations may be hungry, but
heads of state rarely are …………..
 
まず、腐りやすいものは避けた方がよいでしょう。一般国民はお腹が減っているかもしれない
が、国家元首はそうではない。
 
ちょっと分かりにくい皮肉な表現ですが、続いて読んでいくと、意外と生鮮食品を受け取って
いる例が見られるということです(英国女王は、パイナップル、卵(!)、カタツムリ(これは
分かるような気がする)、7キロのエビなどを受け取っているようです。
一方で、次のように指摘があります。
 
Cultural idiosyncrasies are best noted and then avoided when choosing gifts. The
potential for faux pas is near-limitless. Chinese diplomats giggle and shiver at the
memory of receiving clocks (to them a symbol for time running out and relationships
ending), handkerchiefs (ditto, waving goodbye to a lover) and gifts in sets of four
(a homophone for death).
 
文化的な特質は注目を浴びるが、ギフトを選ぶときには参考にされないということだそうです。
 
faux pas」-誤りを犯す可能性はいくらでもある、ということで、色々な例が出てきます。
中国人に時計を贈るのはまずい(時間が無くなる、あるいは、関係が終了することの象徴)、
あるいは、4個セットの贈答品(4が「homophone for death」(同義語)ということで、これは
日本人にも分かります)とか。
 
それから敵対する相手にはプレゼントは贈らない方がよい(仲直りに向けた交渉の時という
ことでしょうけどね)。後々悪用されるからという考え方です。例としてはアメリカから北朝鮮に
贈ったプレゼントのケースが出てきます。
 
Giving gifts to foes is best avoided altogether. They can linger far longer than imagined
and may turn into hostages to fortune. Visitors on state-approved tours to North Korea
are routinely taken to what the country’s friendless leadership regards as a must-see
attraction......」
 
linger」―自分の利益のために利用する(「turn hostages to fortune」)というような悪い目的で
長い間キープされるということですね。
 
北朝鮮の贈答品を展示した施設(gift museum)には、オルブライト国務長官が2000年に
北朝鮮を訪問した際に贈ったバスケットボールが飾られているそうです(これはこれでよいのでは
と思いますが)。
 
そこで、Economistの提言として、無意味な、つまらないプレゼントの交換が今後も続くのであれば、
各国とその外交官は現実的な選択をすべきである(「When useless and inappropriate gifts
continue to turn up in future, courtiers and diplomats ought to apply a new pragmatism」)。
 
景気が悪い時は、金張りの小物、エレクトロニクス製品などを送って競売にかけられるようにする。
あるいは、使い回しを考えましょうとかいろいろ言っています。
 
あるいは、贈られた側にとって喜ばしいプレゼントではないと贈り手が認識した場合は、返して
もらえばよいではないかという提案もしていますが、これは実現性がないのでは?
最後に、一番良いプレセントは、穏やかな悪意(gentle malice)を込めたものであるとしています。
 
たとえば、北朝鮮といえども、ドイツの代表団から送られた、ベルリンの壁から削り取った
コンクリート片を自国のプロパガンダには利用できないと結んでいます。
 
The greatest gift of all is to choose one’s gifts with gentle malice. Even the North Koreans
have found it hard to make propaganda out of a German delegation’s present—a piece of concrete hacked from the felled Berlin Wall.
 
ウィットの効かせ方が今一つかなと思いますが、まー、Economistらしい筆致だと思います。

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